秋季キャンプで見せた、巨人新体制の「高橋由伸らしさ」 (3ページ目)

  • 高松正人●文 text by Takamatsu Masato
  • photo by Kyodo News

 そしてもうひとりの注目がルーキーの岡本和真だ。どっしりとした構えから下半身主導のスイングで強く大きな打球を連発。また、このキャンプで目立っていたのが守備。新体制発足と同時に始まったジャイアンツ球場の秋季練習では、今季限りで現役を引退した井端弘和コーチの発案で、岡本はショートのポジションでノックを受けていた。「4番・サード」で育成する基本方針は変わらないが、「三塁よりも動きの多いショートを守らすことでいろんなことを学べる」という井端コーチの提案に高橋監督も賛同。守備に不安があった岡本だが、秋季キャンプでも軽快な動きを見せていた。

 一方で、野手出身の高橋監督にとって最も難しいのが投手の見方だ。秋季キャンプでは、練習前にブルペンでのピッチング時間を確認し、投球練習を可能な限りチェック。「一軍の試合で投げたことのある選手はわかるけど、あまり見たことのない投手もいるので……」と、平良拳太郎(20歳)や育成の田原啓吾(21歳)のピッチングを熱心に見ていた。

 投手の指導はキャリアのある尾花高夫コーチや豊田清コーチに一任しているが、ブルペンでは自ら左打席に入り、投手の軌道を何度も確認する姿が印象的だった。

 今秋から投球フォームをオーバースローからサイドスローに変えた左腕の公文克彦は、高橋監督が熱視線を送っているひとり。踏み出す足が左打者に向かってくるため、バッターは自分の方にボールが来る錯覚に陥(おちい)る。まだ一軍に定着したことがなく、すぐに戦力になるという判断はできないが、「あとは本人がしっかりと投げられるかどうかですね」と高橋監督は期待を込める。

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