ドラフト直前、今年の「隠し玉」はこの4人だ! (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 実際、サウスポーは左打者に強いとされている。しかし、左打者に対して腕が振れないサウスポーが実はけっこうな数になるという。そこで、左打者でもしっかり腕の振れるサウスポーにスカウトは注目する。そうした特質を持ったふたりの投手を挙げたい。

 まずは、関東学院大の若林篤志(左投左打)。流行のファッションがピタリと似合いそうなスリムでしなやかな体の線。そして優しげなマスク。そんな外見の奥に隠し持った"牙"がこのサウスポーの持ち味だ。右打者も左打者も、インコースを突かないと抑えられない――彼のピッチングを見ていると、そんな強い思いが伝わってくる。たとえば、左打者の肩口に死球を当て、次の左打者がベース寄りに立っても、お構いなしにインコースを攻めてくる。その気持ちの強さ、実戦になればなるほど生きてくる。

 別に140キロ後半が出るわけではない。だから、大きく報道もされないし、すべてのスカウトが評価しているわけでもない。しかし、135キロぐらいのストレートで打者たちのバットを粉砕するシーンを何度も見ている。

 いわゆるボールのキレ。つまり体感スピードで勝負するサウスポーだ。それに拳銃の早撃ちのようなトリッキーなけん制に、抜群のフィールディング。スピードガンの球速しか信じない球団には獲れない選手だ。今の評価は低いかもしれないが、プロに入ってから大きく化ける可能性を持った選手といえよう。

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