セ・リーグCS展望。東京ドーム2勝11敗の阪神に秘策はあるか? (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ちなみに、阪神は広島の三本柱、前田健太、黒田博樹、ジョンソンの3人に0勝11敗と完璧に抑え込まれている。まさに今シーズンの阪神を象徴する数字だといえる。与田剛氏は言う。

「今シーズンの阪神打線は、得点パターンが非常に少なかったように思えます。結局、ゴメス、マートンの両外国人選手頼みの打線になり、彼らが機能しないと得点が入らない。かといって、それを補う機動力があるわけでもなく、代わりの選手を使うこともありませんでした。戦力面、作戦面ともに厳しい1年でしたね」

 そしてなにより心配なのが、選手のモチベーションだ。ロッテのように勝ち続けて3位になったわけではなく、9、10月の成績は9勝15敗の大失速。10月4日に行なわれた甲子園での広島戦は勝てば3位確定という大一番だったが、0-6で敗れレギュラーシーズン終了となった。その後、和田豊監督の辞任、関川浩一打撃コーチの退任、マートンの戦力外報道など、ネガティブな話題が続いている。

 昨年、阪神はCSファイナルでセ・リーグ王者の巨人と対戦し、4連勝で日本シリーズ進出を決めたが、今年はこうしたチーム状況の中で「昨年の再現」の可能性はあるのだろうか。

「昨年はマートンとゴメスが活躍し、チームを引っ張りましたが、今年はこのふたりがよくありません。阪神が勝つとすれば、少ない得点を投手陣がどれだけ守りきれるかでしょうね。ただ、初戦で藤浪晋太郎が巨人打線を完封するようなことがあれば、一気に流れをつかめるかもしれません」(野口氏)

「言ってみれば、阪神には失うものがありません。データ的にも不利な数字が並びますが、逆に思い切りやればいいと思います。いい意味でどこまで開き直れるかがカギになるでしょうね。打線を組み替えたり、機動力を使ってみたり、それぐらい思い切ったことをやってもいいと思います」(与田氏)

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