「ソフトバンク黄金時代」を予感させた上林誠知の衝撃弾 (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Kyodo News

 日本人選手でプロ初本塁打が満塁アーチだったのは昨年10月2日の梅田尚通(西武)以来プロ野球史上57人目。ホークスでは2007年3月31日のブキャナン以来。日本人選手に限れば1997年5月3日の井口忠仁(現在の登録名は資仁、現ロッテ)まで遡(さかのぼ)る。さらに、1981年に吉田博之がマークした球団の満塁ホームラン最年少記録(20歳0カ月)も更新。まさに記録づくめのグランドスラムだった。

 バッティングは高校時代から定評があった。先日は後輩たちの応援に甲子園のアルプススタンドまで駆け付けた。

「つい先日まで二軍にいて、ちょうど鳴尾浜への遠征で、中止や移動日などで時間ができたので準々決勝と決勝戦を観に行きました。今の3年生は僕らの2学年下。(エースの)佐藤世那(さとう・せな)は中学時代から有名だったし、(夏の甲子園で3本塁打を放った)平沢大河は初めてフリー打撃を見た時に『凄いなコイツ』と驚いたのが第一印象です」

 自身も高校時代は2年夏から3季連続で甲子園の土を踏み、2年夏と3年春は計20打数8安打で打率.400を記録。センバツではワンバウンドの球をセンター右に弾き返すなど、その巧みなバットコントロールは当時話題を呼んだ。だが、最後の夏は9打数1安打。その後、18Uワールドカップにも日本代表として出場したが結果を出せなかった。ソフトバンクにはドラフト4巡目指名で入団となったが、「3年夏で評価を落としたが、それまでは間違いなく上位指名の有力候補だった」という声を多く聞いた。

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