始まりは2年前。DeNA筒香嘉智はいかにして覚醒したのか? (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「最初にしたことは、筒香が入団してからの4年間を聞くことでした。彼がなぜ能力を発揮できずにいるのか、その障害となっているものは何なのか。そのプロセスを聞かないことには、進むべき方向を示せませんから。当時は打撃フォームもコロコロ変えていたみたいですが、彼にとっていちばん大切だったのは、どんな打者になりたいのかを明確にすることでした」(大村コーチ)

 筒香が振り返る。

「(僕に対して)ライトへ引っ張ってホームランを打つイメージを持っている人は多いと思うんです。でも、僕はどんな状況でも対応できる技術を身につけたいとずっと考えていました。どの方向にも打てて、ランナーが三塁にいればきっちりと犠牲フライを打つ。実際、そこを目指して長いスパンで計画を持って取り組んでいたんですけど......。ただ、いろんな方からアドバイスをいただき、それを取り入れなきゃいけない環境だったので......」

 誰かからアドバイスされればそれを受け入れ、その最中にまた違う人からのアドバイスがあり、それを受け入れる。そうしたことが繰り返されていたという。

「結局、いただいた多くのアドバイスと自分のイメージが一致しなかったというか......プロの世界は、その場しのぎのことを身につけて打てるほど甘くはないですから。それで大村コーチと話をして、これからは自分の思い描くバッティングを貫くと決めて、今もそれができていると思います」

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