広島OB高橋慶彦が語る「赤ヘル黄金時代と2015年のカープ」 (4ページ目)

  • 元永知宏●文 text by Motonaga Tomohiro
  • 五十嵐和博●撮影 photo by Igarashi Kazuhiro

── 慶彦さんにとっては、カープ時代の古葉さんが最高の監督だったのでしょうか。

「選手、コーチとして、多くの監督のもとで戦ってきましたが、古葉さん以上の監督はいません。師匠と言えるのは、古葉さんだけ。ほかの人とは比較になりません。当時はFA制がなくてスター選手は長くプレイしていましたが、古葉さんは次の選手の育成を常に考えていた。即戦力の選手も、若い選手もうまく使いました。強い時期のカープは毎年のように新人王が出ていました。私がスイッチヒッターで成功したら、山崎隆造()も正田耕三()もスイッチにした。足が使えるスイッチヒッターが3人もいたら何でもできますよ。古葉さんは3人を使って、機動力を使う野球をしたかったのだと思います。自分の理想とする野球をするために選手を一から育てる監督は、なかなかいません」
※山崎隆造/80年代~90年代にかけて活躍した俊足の好打者。通算成績は打率.284、88本塁打、477打点、228盗塁
※正田耕造/80年中盤から90年代に不動の二塁手として活躍。通算成績は打率.287、44本塁打、391打点、146盗塁

── くしくも、今季のカープは緒方孝市新監督が指揮をとります。カープひと筋29年、47歳の若い指揮官が24年ぶりのリーグ優勝を狙うことになります。

「私は監督の重要性について、よく将棋に例えます。将棋の駒はみんな同じだけど、指す人によって強さが違ってくる。上手な人が使えば『歩』が『と金』になります。ヘボな人は飛車や角もうまく活かすことができません。それぞれの駒の強さや進み方は変わりませんが、指し手によって動き方は大きく違う。指し手が名人なら駒が自在に盤上を動き回って、強い将棋になる。野球も同じです。指し手である監督がどんな采配を見せるか。チームが勝てるかどうかはそれがすべて。去年までの采配が悪かったということではないけれど、今年のカープの野球は緒方監督によって大きく変わるだろうと思います」

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