アマ球界の実力者を次々と指名した中日に復権の予感 (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

 また、大学、社会人中心の指名となった中日、阪神とは対照的に、日本ハムは指名した9人中7人が高校生だった。この指名について、安倍氏は次のように語る。

「今年、日本ハムは西川遥輝や中島卓也、近藤健介といった高卒の選手が台頭し、シーズン3位という結果をおさめました。ある程度、こうすれば選手が育つというノウハウを身につけたのかもしれないですね。さらに、今回指名を受けた彼らが順調に育ってくれれば、これほど楽しみなチームもありません。ただ、現段階で日本ハムの指名を評価するのは時期尚早のような気がします。3~4年後、彼らが一軍でプレイしているなら、あの時の日本ハムは最高のドラフトだったと言えるでしょう」

 最後に、2014年のドラフトを安倍氏に総括してもらった。

「よくドラフトで『バランスのいい補強ができた』という言葉を耳にしますが、あれって実は補強じゃなくて、補充です。チームに何が足りなくて、何が必要かを分析し、そして選手を獲得するのが補強なんです。そういう意味では、中日、阪神がいいドラフトをしたと思います。あと、楽しみな選手を獲得したのは、野間峻祥(中部学院大/外野手/右投右打)を1位で指名した広島、岡本を一本釣りした巨人です。特に、野間という選手はスピードが素晴らしい。スタート、加速のスピードならチームメイトになる菊池涼介より上かもしれません。近い将来、菊池と1、2番コンビを組む可能性があります。それが実現すれば、今までに見たことのない1、2番コンビが完成するかもしれません。岡本に関しては、とにかく巨人首脳陣がいじらないこと。彼は客観的に自分を見ることができますし、ほっておいても勝手に成長します。今がいちばんいいスイングをしているので、これを崩さなければ巨人を背負って立つ選手になるでしょうね」

“不作”と言われていた今回のドラフトだが、育成選手の含め104人もの選手が指名された。この中から少しでも多くの選手がチームを、そして球界を代表する選手になってくれることを切に願う。

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