2014.10.22

ドラフト直前。スカウトは選手の「ココ」を見ている

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 ドラフトまであと1日と迫った。各球団とも指名選手の絞り込みに追われ、眠れぬ夜を過ごしているに違いない。春先には300人ほどいるドラフト候補を、半年後にはおよそ5分の1、そして最終的には10人前後まで絞り込む。その作業をするにあたって、大きく関わってくるのが、スカウトたちの”目”だ。投手なら、球が速い、変化球のキレがいい、野手なら、長打力がある、足が速い、守備うまい……といった単純なものではない。

最速157キロ右腕・安樂智大(済美)はスカウトたちの目にどう映るのか?

 以前、こんなことがあった。高校野球の九州大会でのこと。フィールディングが抜群にうまい遊撃手がいた。打球に対する反応の速さ、捕球のうまさ、フィールディングの良さ。前評判はそれほどでもなかったが、実際に目の当たりにすると「モノが違う」とすぐにわかる身のこなしだった。

 彼のプレイに見とれていると、たった今まで一緒に観戦していたスカウトの姿がなくなっていた。トイレにも行ったのだろうと思っていたら、ダグアウトの上の父兄が応援しているスタンドの中にそのスカウトの姿があった。スカウトの視線はグラウンドではなく、応援に夢中になっている父兄たちに注がれていた。

「どんなお母さんかなと思ってね。体格、顔つき、態度……お母さんを見れば、その子がどんな子か、大体わかります。直接話をするのは差し障りがあるから見るだけだけどね」

 ちなみに、その選手は今、ある球団で持ち味である高い守備力を発揮して活躍している。

 もちろん、投手にも「見ておくべきポイント」というのがあるという。

 たとえば、初球の入り方、用心深さ、変化球でカウントを奪える技術、3球で打者を追い込む球威とコントロール、3ボールになってからの粘り、勝負球の威力。さらに、先発して長いイニングを投げる場合なら、まず立ち上がりのボールがどれだけ指にかかっているか、セットポジションでも球威が変わらないか、球種を変えたときに変化が甘くならないか、そして根気強さ……。

 数え上げればキリがないが、スカウトたちが選手を”見る”というのは、そういうことだ。