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22歳の挑戦。山田哲人、シーズン193安打の舞台裏 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 今シーズン、山田は開幕戦に1番・セカンドで先発すると、好調を維持しレギュラーに定着。そして22歳の若き核弾頭は、プロ野球界に大きな衝撃をもたらした。今季、山田が残した数字は以下の通り。

打率:3割2分4厘(リーグ3位)
本塁打:29本(リーグ3位/日本人1位)
打点:89(リーグ4位)
安打:193本(リーグ1位)
四球:74個(リーグ4位)
出塁率:4割3厘(リーグ4位)
長打率:5割3分9厘(リーグ3位/日本人1位)

 プロ4年目で、過去にフルシーズンを経験したことがない選手とは思えないほど、高い数字が並んでいる。

「本当に予想以上の素晴らしい成績を残してくれました。本来なら3番を打たせたいんだけど、チーム事情もあって......。能力としては4番でもいいぐらい。打率が3割2分を超え、ホームランも30本近く打っているんですから(笑)」(真中満チーフ打撃コーチ)

「オレもここまで打つとは想像していなかった(笑)」(杉村コーチ)

「この成績には、僕がいちばん驚いています」(山田)

 聞こえてくるのは驚きの声ばかり。山田が飛躍した要因はWeb Sportivaの7月29日に掲載した"4年目の覚醒。山田哲人が「ヤクルトの至宝」になるまで"でも触れたが、要約すると、目的意識を明確にした練習への取り組み方。スコアラーの分析を信頼した打席での迷いないスイング。そして、杉村コーチと行なった早出練習での多彩なティーバッティングだった。

「あらためて説明するけど、ウチがやっているティーバッティングには3つの効果があります。ひとつは前日に崩された打撃フォームを元に戻すこと。これができれば、調子の波を小さくすることができる。次に体力の強化。そして、ひとつのことを継続することで、練習に対する意識が高くなること」(杉村コーチ)

 山田と杉村コーチは開幕前にいくつかの約束事を交わし、大きな目標として設定されたのが、「早出のティーバッティングを1年間やり続ける」「年間180本のヒットを打つ」ということだった。

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