12球団最強。ヤクルト打線を変貌させた「秘密練習」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ヤクルト打線が猛威を奮っている。6月5日現在の打撃主要部門の成績を見てみると――。

チーム打率.286(リーグ1位)
安打数558(リーグ1位)
本塁打60本(リーグ2位)
得点291(リーグ1位)
出塁率.350(リーグ1位)
長打率.424(リーグ1位)

 本塁打こそ2本差で広島に次いで2位となっているが、ほとんどの打撃部門でリーグ1位を記録。ちなみに、チーム打率2位は阪神の.268だから、その突出ぶりが際立つ。

今季、急成長を遂げヤクルトの核弾頭として活躍する4年目の山田哲人。今季、急成長を遂げヤクルトの核弾頭として活躍する4年目の山田哲人。

 ここで、6月4日のオリックス戦のラインアップを見てもらいたい。

1. 山田哲人(セカンド).328
2. 上田剛史(センター).230
3. 川端慎吾(サード).304
4. バレンティン(レフト).303
5. 畠山和洋(ファースト).329
6. 雄平(ライト).298
7. 森岡良介(ショート).415
8. 中村悠平(キャッチャー).354
9. 古野正人(ピッチャー).071
※打率は試合開始前のもの

 森岡、中村は規定打席に到達していないが、3割以上の打者が6人と、上位から下位までムラなく高打率を残している。その結果、2ケタ安打を放った試合は55試合中30試合。特に5月13日から5試合は16安打、15安打、17安打、10安打、11安打と2ケタ安打を放ち、次の試合は8安打に終わるも、そこから再び5試合連続2ケタ安打を記録した。

 昨年はチーム打率.253(リーグ4位)で、規定打席に到達したのはバレンティンただひとり。オフに大きな補強もなく、なぜ今年ここまでの打線が完成したのかが不思議だった。しかし――。

 いろいろと調べていると、ヤクルト打線の飛躍のカギを握るふたりの人物が浮かび上がってきた。真中満チーフ打撃コーチと杉村繁打撃コーチだ。ふたりは昨年、ヤクルトの二軍監督、二軍打撃コーチとしてチームをイースタン・リーグ優勝に導き、リーグトップのチーム打率.293を記録。さらに個人打撃成績でも、首位打者を獲得した荒木貴裕を筆頭に、ベスト10に4人の選手を送り込んでいる。彼らが今年から一軍スタッフに名を連ねたことと、ヤクルト打線爆発の間に何か関係があるに違いない。

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