2014.06.03

もはや日本のエース。解説者7人の「金子千尋論」

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 オリックスのエース・金子千尋が圧巻の投球で存在感を見せつけている。4月4日の西武戦で2安打、14奪三振で今季初完封を飾ると、5月31日の巨人戦では強力打線を相手に9回をノーヒットに抑える完璧なピッチングを見せた。味方の援護なく同点のまま降板したため大記録達成はならなかったが、まさに「球界のエース」と呼ぶにふさわしい投球だった。金子の凄みとは何なのか? 解説者7人に聞いた。

6月2日現在、4勝3敗、防御率1.25の成績を収めている金子千尋。

◎山田久志(元中日監督、第2回WBC投手コーチ)

 これまでダルビッシュ有(レンジャーズ)や田中将大(ヤンキース)の陰に隠れてあまり注目されることがなかった金子ですが、実力的には彼らにまったく引けをとらない素晴らしいものを持っています。金子の最大の特長は、豊富な球種と制球力の高さです。ピッチャーというのは、ストレートと決め球になる変化球を1~2個投げることができれば十分勝負できるのですが、金子は決め球が7個か8個もある。こんなに必要かな、と思うこともあるありますが、どれも精度が高く、すべてのボールが一級品。打者からしてみれば、これほど厄介な投手はいないと思います。

 それに加え、コントロールも抜群。上下左右の揺さぶりだけでなく、ボールを曲げる位置や、落ちる幅まで計算している感じがします。だからこそ昨年、12球団最多となる200奪三振を記録できたのでしょう。あと、金子に必要なのはチームを日本一へ導くことです。もちろん、本人がいちばんわかっているだろうし、誰よりも望んでいると思います。そういう意味で、今年の金子は大注目です。

◎吉井理人(元日本ハム投手コーチ)

 ボールのキレ、制球力は間違いなく12球団ナンバーワンです。金子は多彩な球種が持ち味の投手ですが、どのボールもカウント球になり、勝負球としても使える。プロでもこんなピッチャーはほとんどいません。それほど完成度の高いピッチャーです。

 そして彼のもうひとつの武器は、右打者に対してのアウトコースの攻めです。ピッチングの基本は、内角で打者の体を起こして、外角で勝負する対角線の攻めです。しかし金子の場合は、インコースを使わなくても外の出し入れだけで勝負できます。たとえば、ストレートのあとにスライダーを投げるとします。その時、金子はストレートとまったく同じ軌道でスライダーを投げてきます。打者としては完全にストレートだと思って振りにいくのですが、途中からボールが変化するため対応できない。外の出し入れだけなら、ダルビッシュ有や田中将大よりも上だと思います。