16年ぶり貯金10。「鯉の季節」にカープファンは何を思う?
プロ野球12球団で優勝から最も遠ざかっているのが広島カープである。1991年の歓喜から22年が過ぎ去った。昨年、クライマックス・シリーズ(CS)に進出したが、69勝72敗3分け。貯金を作ることはできなかった。ちなみに、2001年を最後にシーズンでの勝ち越しはないのである。
4月24日の試合で小窪哲也のホームランに盛り上がるカープファン。
その広島が、今年はじつに強い。4月22日からのヤクルトとのビジター3連戦。カープファンは神宮球場を真っ赤に染め上げ、その声援を背にカープはヤクルトに3連勝。その勢いは本物だった。
「いよいよヤクルトの暗黒時代が来ちゃったね。今年は目指せ5位だったんだけど、ライアン(小川泰弘)の骨折でそれも厳しくなってきた。でも、ここからがオレの出番だよ。オレが応援しなきゃ誰がするんだよ」
ライトスタンドからヤクルトを応援し続けている一野瀬さんは寂しげに笑い、真っ赤に染まるレフトスタンドを眺めたのだった。
「もはやこの神宮では、事実上、カープファンの方が多いからね」
初戦の観客数は雨の影響もあり10577人。しかし、その7割以上はカープファンだった。
「神宮に来るカープファンがこんなに増えるとは想像できなかった。僕は15年前からのカープファンなんですが、当時はカープが低迷していた頃で、東京に住む広島ファンはそういなかったですから」
レフトスタンド中央部に陣取る小林さん(男性/25歳)は言った。カープのハッピ姿がじつに似合っている。
「今は毎日が楽しいですよ。でも、そろそろメッキがはげてくるのかな(苦笑)。今年は投手陣がいいからずるずるとは落ちないだろうけど、そうなったとしても定位置に戻ったと思えばいい(笑)」
宇和川さん(男性/47歳)は小学生の頃からのカープファンだ。
「1975年の初優勝も体験してるよ。忘れられないのは1991年の日本シリーズ第7戦だね。山本浩二(当時監督)の胴上げを見るつもりが、西武の胴上げを見てしまった」
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