2014.04.24

20歳の新星。日本ハム・上沢直之が描く奇跡の成長曲線

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Nikkan sports

 4月16日、京セラドーム。日本ハムの3年目右腕・上沢直之(うわさわ・なおゆき)がオリックス・バッファローズの強打者たちを次々に打ち取っていく。

 6回が終わる。まだ1本のヒットも許していない。それどころか、打球が外野に飛ばない。ここまで18のアウトのうち、12のアウトを日本ハム内野陣がさばいていた。

4月2日のソフトバンク戦でプロ初登板、初先発、初勝利を飾った上沢直之。

 187センチの長身から投げ下ろしてくるオーバーハンド。それなのに、高く抜けるボールがほとんどない。徹底して低目を突くストレートはアベレージで130キロ後半。打者を圧倒する数字じゃないが、スライダー、カーブ、チェンジアップにフォークボールを交えて低く集める。目から遠い位置の"仕事"は精度が落ちる。オリックスのバッターは打ち損じの内野ゴロを次々と繰り返していた。

 4年前、千葉・専大松戸高3年の上沢のピッチングを見た。

 長身を持て余していない、しなやかな投球フォーム。左足を上げて、そこで真っすぐに立とうとする意識がはっきり見えていた。ただの力任せの本格派じゃない。145キロ前後のスピードを持っていながら、それをひけらかすことなく、フォームの合理性に気を配りながら、持ち球とのコンビネーションを有効活用して投げている。きちんと教わったことを理解しながら投げている。スタンドからも、そんな上沢の"輪郭"が見てとれた。

「持丸(修一)監督の指導が徹底していましたね」

 専大松戸高の野球部部長・森岡健太郎が上沢の高校時代を振り返る。

「とにかく腕を振って低めに、低めに。上沢が1年生の時から、つきっきりで教え込んでいました。150キロ投げたって、ベルトの高さに行ったら打たれますから。4月16日のオリックス戦のピッチングもテレビで見ていたんですけど、2戦目(9日)よりもゾーンが低くて、丁寧に投げていましたね」