2014.04.04

投手・大谷翔平が求めるべきものは「安定感」か「躍動感」か?

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 田中正史●写真 photo by Tanaka Masashi

 彼の母がこんな話をしてくれたことがある。

「翔平って、変に見栄っ張りで、カッコ悪いところは人に見せたくないと強がるところがあるみたいなんです。だから人前で泣いたり、どこかが痛いと言ったりしたのを私は見たことがありません。転んで帰って来たときも家まではガマンして、家に入ってからワーッと泣くんですよ。『大変だっ、血が出た~っ』ってね(笑)」(大谷の母、加代子さん)

今季初登板は右足がつるアクシデントで3回降板となった大谷翔平。

 なぜこのエピソードを思いだしたかと言えば、試合後、栗山英樹監督が、ふくらはぎがつって3回でマウンドを下りた大谷翔平について、こう言っていたからだ。

「(大谷が異変を)こっちに言ってこなかったし、マウンドでの様子がおかしいと思ったので、ここは無理させちゃいけない、すぐに代えよう、ということになりました」

 そう、彼は少々のことはガマンして、口をつぐむ。

 指揮官も以前から、「アイツは自分からは何も言ってこないんだよ」と嘆いていた。

 この日も強がって、何度となく「大丈夫、大丈夫」と繰り返した。

 大谷翔平、プロ2年目の第二幕──。

 二刀のうちの一刀、バッターとしての大谷は”2年連続、開幕戦でのマルチヒット”という、高卒2年目としては史上初の快挙を成し遂げて幕を開けた。そしてもう一刀、ピッチャーとしての大谷は、ファイターズ6人目のスターターとして、4月3日の福岡でマウンドへ上がった。しかし、この日の大谷を思わぬアクシデントが襲った。