栗山監督が語る「斎藤佑樹と大谷翔平に賭ける意味」 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

―― 投手としての大谷の課題は今、どこにあるとお考えですか。

「極端な言い方をすれば、今、(斎藤)佑樹が持っているものが翔平にはありません。要するに、こう投げたらバッターはこう打ち取れるだろうとか、ここはこういう攻め方をしていけば点を与えずに済むとか、そういう先を読んだピッチングが出来ていない。やっぱり翔平の場合、いい球を投げたいという意識がすごく強いので、勝つことといい球を投げることのまとめ方がうまくいっていない気がします」

―― では、野手としての大谷には今年、どのくらいの計算をしていますか。

「打率3割、ホームラン20本」

── えっ、けっこう高いハードルですね。

「規定打席に届かなくても3割くらいは打てという話ですよ。ホームランも、野手として週に2、3試合、月に10試合として、60試合あれば20本くらいは打てるでしょ(笑)。翔平なら、打つ方の練習はしなくてもそれくらいはできるというのがわかっていますから」

―― では去年の終盤、大谷が一気に打率を下げた原因はどこにあるとお考えですか。

「僕なりに分析して、ふたつの理由があると思っています。ひとつは戦略上、ここでは言えないんですけど、もうひとつは、ルーキーがプロ野球の世界で結果を出し始めると、バッティングの特徴を分析されるということがあります。たぶん翔平に関しては、最初はインコースを攻めてはくるものの、さほど厳しい攻めはしてこなかった。それが、さすがにあそこまで打たれたら、当てるのもやむなしという思い切った攻めをされた。ただ、そんなことは想定済みで、今年は翔平ならそのあたりには十分、対処できると思っています」

―― 当面、大谷を守らせることは考えていないと聞きましたが……。

「状況は変わるかもしれませんが、できるならば守らせたくないと思っています。だから去年はピッチャーと野手をやってくれと言いましたけど、今年はピッチャーとバッターをやってくれと言っています。野手は二の次、三の次。DHについても、ウチには稲葉もしるし、アブちゃん(アブレイユ)もミランダもいる。そういう兼ね合いもあると思いますので、とにかくまずは先発ローテーションのピッチャーとして、日々の進行を妨げないよう、考えていきたいと思っています」

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