「ポストシーズンの悪夢」を振り払った楽天3人の野球人生

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 2013年のプロ野球日本シリーズは楽天が4勝3敗で巨人を下し、球団創設9年目にして初の日本一を達成した。この楽天に初の栄冠をもたらした11月3日は、闘将・星野仙一監督、松井稼頭央、アンドリュー・ジョーンズの3人が「ポストシーズンの悪夢」から解放された日でもあった。

優勝トロフィーを見つめる松井稼頭央とアンドリュー・ジョーンズ。優勝トロフィーを見つめる松井稼頭央とアンドリュー・ジョーンズ。

 第7戦の試合後、雨が降りそそぐKスタ宮城での表彰式。星野監督は受け取った優勝トロフィーをジョーンズに手渡すと、今度はジョーンズがそのトロフィーを松井に手渡した。一見、何の不思議もないワンシーンだが、その光景に深い感慨を受けたのだった。At last! ついに3人はチャンピオンという栄光を手にしたのだ。

 星野監督は現役時代(中日)の1974年に日本シリーズ初出場を果たした。当時、仙台を準フランチャイズとしていたロッテの前に2勝4敗で敗退。第6戦では2番手投手として登板し、延長10回に勝ち越し打を許し、敗戦投手になった。1988年と1999年には中日の監督として出場するも、それぞれ西武、ダイエー(現ソフトバンク)の前に1勝4敗で敗れた。2003年には阪神の監督として、チームを18年ぶりの日本シリーズへと導いた。ダイエー相手に3勝2敗と先に王手をかけながら2連敗を喫し、またしても頂点に立つことはできなかった。

 10年単位で区切れば、星野監督は70年代、80年代、90年代、00年代と4つの年代で敗れ去っているのである。そして2013年が、自身5度目の挑戦だった。

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