2013.11.02

嗚呼、ベイスターズを出て幸せになった男たちがいっぱい

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 熱戦が続き、大きな盛り上がりを見せる2013年日本シリーズ。なかでも10月31日に行なわれた試合は、このシリーズ初の延長戦となる大激戦となった。この試合の主役は、6回からマウンドに上がり5イニングを投げ抜いた則本昂大(楽天)であることに異論はない。だが、その則本から本塁打とタイムリーで執念の同点劇を演出した村田修一(巨人)や、再三の好守でチームのピンチを救った藤田一也(楽天)の活躍も光った。そして彼らの活躍を見るたび、ベイスターズファンは何とも複雑な心境になるのだった。

攻守にわたり楽天の中心選手となった藤田一也

 村田も藤田もかつてはベイスターズの選手だった。本塁打王を2度獲得するなどチームの顔だった村田は、2012年オフに「強いチームはいいなと思った。このままズルズルと野球人生を終わらせたくない」とFA宣言し巨人に入団。その言葉通り、巨人移籍1年目の昨年、自身初のリーグ優勝、日本一を味わった。

 一方の藤田は2012年シーズン途中に内村賢介とのトレードで楽天に移籍。ベイスターズ時代の藤田は、かつての同僚である仁志敏久に「今、プロ野球でいちばん守備がうまいのは藤田」と言われるほど守備で高い評価を受けていたが、打撃面での非力さが首脳陣の信頼を得られず、一軍と二軍を行き来していた。

 その藤田の守備力に目をつけたのが、投手を中心とした守りの野球を標榜する楽天・星野仙一監督だった。「アイツ(藤田)がチーム入り、オレの理想とする野球ができるようになった」と語るように、星野監督は藤田を積極的に起用し、藤田もまたその期待に応えた。プロ9年目の今季、主に「2番・セカンド」として自己最多の128試合に出場し攻守で活躍。楽天のチーム創設初のリーグ優勝に大きく貢献した。藤田は言う。

「まさか優勝を味わえるなんて思っていなかった。本当に楽天に来てよかった」

 実は、村田や藤田だけでなく、ベイスターズを出た選手が移籍先でチームに貢献し日本一やリーグ優勝を経験するというケースは多い。