09年のダルビッシュ有を彷彿させた美馬学のカーブ攻め
吉井理人が見た日本シリーズ第3戦
1勝1敗で迎え、東京ドームに場所を移して行なわれた日本シリーズの第3戦。序盤に4点のリードを奪った楽天が先発野手全員安打など終始ペースを握り、5対1で勝利を収めた。杉内俊哉(巨人)と美馬学(楽天)が先発した一戦は、どこに勝負の分かれ目があったのだろうか。元日本ハム投手コーチで、現FOXテレビ解説者の吉井理人氏に解説してもらった。
6回に打球を足に当てて降板した美馬学だが、巨人打線を無失点に抑える好投を見せた。
巨人はリリーフ陣が強力なので、楽天が勝つには序盤に先制点を取ることがポイントだと思っていました。そういう意味で、2回のビッグイニングがすべてでしたね。僕のイメージする杉内は2011年までパ・リーグで投げていた姿ですが、その頃と比べたら明らかに劣っていました。
楽天の各バッター、特に1番から3番の左打者は昨年くらいから打つポイントを体の近くにして、真っすぐは反対方向、スライダーはタイミングが合えば思い切り引っ張るというバッティングをしています。左投手でスライダーのコントロールが悪いピッチャーの時には爆発する印象があります。
昨日の杉内はスライダーがいいところに決まっていませんでした。インコースを狙った真っすぐはよかったけど、藤田一也に2点先制タイムリー二塁打を打たれた場面は、真ん中低めの真っすぐをしっかり左中間に打たれた。続く銀次のライトオーバー2点タイムリー二塁打はめちゃくちゃ甘いスライダー。ホームランにされてもおかしくないボールでした。スライダーに苦しんでいた杉内を、楽天の左打者がいとも簡単に攻略した感じですね。
一方の楽天先発の美馬ですが、いつもと違う配球でビックリしました。前半はカーブ主体で、「長いイニングを持つのか?」と思っていたけど、打順がふた回り目からシュート、スライダー中心の配球に変わりました。たぶん、カーブ中心で巨人打線を抑えられる確信があったんだと思います。
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