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驚異の勝率。CSで侮れないロッテの「短期決戦力」 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 また、ロッテのある球団関係者は、「短期決戦用の戦いに切り替えることを躊躇しないのが、他のチームにはない特徴」だと言う。

「長いレギュラーシーズンと違って、短期決戦ではチームの爆発力が求められます。抜きん出た存在の選手がいるチームは、どうしてもその選手を中心として戦うので、もし短期決戦で不調に陥ったりすると展開的に苦しくなってしまう。その時に監督は、その選手の復調を待つのか、ベンチに下げるのか大きな決断に迫られる。その判断がチームにも大きく影響してきます。その点、うちのチームには抜きん出た存在の選手はいなかった」
 
 よく「選手と心中」という言葉を耳にするが、短期決戦では時間の猶予がない。

「ただロッテには絶対的な存在の選手はいませんでしたが、一軍で十分に戦力になれるレベルの選手が揃っていた。だから、相手チームより使える駒が多かったんです。その中で、いい状態の選手をタイムリーに起用することができた」(前出・ロッテ関係者)

 関係者がそう語るように、2005年のダイエー(現ソフトバンク)とのプレイオフでは、調子のいい選手を積極的に上位打線に配し、相手投手との相性を見て日替わりで選手を起用。その結果、斉藤和己、和田毅、杉内俊哉を擁するダイエー強力投手陣を打ち砕き、日本シリーズでも阪神相手にチーム打率.326の猛攻で4連勝を飾った。2010年の日本シリーズでは、シーズンで思うような成績を残せなかった内竜也、伊藤義弘の両投手がリリーフで活躍。4勝2敗1分で中日を撃破した。

 かつてロッテに在籍したこともある吉井理人氏は、ロッテの短期決戦での強さについて次のように語る。

「勢いで勝っている印象が強いんですが、ロッテというチームは選手が本当に一生懸命練習するんです。ロッテに入って、いちばん驚いたのがそこでした。そういう下地があるから、選手たちも『負けてたまるか!』という気持ちになるんだと思います。豊富な練習量に裏打ちされたたくましさが、ロッテの強さだと思います」

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