無傷の20連勝。恩師と同僚とライバルが見た「2013年の田中将大」

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki

 楽天のエース・田中将大が9月6日のファイターズ戦に勝利し、20勝に到達した。ここ20年間で20勝を達成したのは、1999年の上原浩治(当時・巨人)、2003年の斉藤和己(ソフトバンク)と井川慶(当時・阪神)、2008年の岩隈久志(当時・楽天)の4人だけ。これだけでもいかにすごい記録かがわかる。

史上初の4カ月連続月間MVPも達成した田中将大史上初の4カ月連続月間MVPも達成した田中将大

 しかし、今回の田中はそれだけではない。開幕から無傷での20勝達成なのだ。これは日本だけでなくメジャーでもない、史上初の大記録。昨年8月26日のファイターズ戦から続く連勝も24に伸びて、こちらはカール・ハッベルの世界記録に並んだ。星野仙一監督も「想像を絶する。こんなピッチャーは見たことない。世界記録? もう破られないでしょう。100年経っても」と手放しで称えた。

 これまでも最多勝、防御率、最多奪三振の投手タイトルを獲得し、ここ2年は防御率1点台と能力を見せつけて来た田中だが、今年は神懸った力が加わったようにさえ思える。

 今年の田中はどこが違うのか。まずチームメイトに「2013年バージョンのマー君」について聞いてみた。

 投手陣の中で田中の兄貴分のような存在の小山伸一郎は「力の使い方が違う」と言う。

「去年までは打たれると力んで、力でねじ伏せようとしていた。今年は0点にさえ抑えればいいという感じで、無駄な力が全く入っていない。点を取られたり、ピンチになっても気持ちの切り替えがうまくなったし、練習や生活も含めてメリハリがある」

 田中が投げるときは打線も活発だ。リードを許して降板した田中の負けを打線が消した試合もあった。

 チームリーダーの松井稼頭央は「田中のリズムのよさが打線にいい影響を与えている」と指摘する。

「コントロールがいいので、守っていても守りやすい。その上リズムがいいので、攻撃に移ったとき、打線もそのいいリズムに乗っかっていける。投げる試合で打線が活発になるのは当然」

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