工藤公康が語る「後半戦注目はベイスターズ投手陣だ!」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamaura Seiya

――むしろ白熱するのは3位争いかもしれませんね。

「多くの人が“3位争い”に注目するのはわかります。でも僕としては今の時点で“3位争い”なんて言いたくないし、書いてほしくないんです。選手たちが目指すのは、あくまでも優勝ですから。3位になれれば借金があってもいいでしょ、ってわけにはいきません。そんな考えでは非常にレベルの低い争いになってしまうし、選手のモチベーションとしても良くない。もちろん、ファンだって喜ばないと思います。とはいえ、たくさんの借金を抱えて『優勝だー』と言っても現実味がないですよね。だから、セ・リーグの下位4球団には、まず5割を目指してほしいです。5割をキープして、そこから貯金を増やしていくことによって見えなかったものが見えてくるんです」

――3位の中日で借金9。DeNA、広島、ヤクルトには二桁の借金がありますが、このうち借金を返して浮上していく可能性があるのは、どのチームでしょうか?

「この4チームの中で、上に行く雰囲気があるのはDeNAじゃないですかね。リーグでいちばん失点が多いけど、得点もいちばん多いんですよ。ブランコ選手(打率.324、30本、87打点)が非常に大きな働きをして、ベテランの中村紀洋選手(打率.311、12本、41打点)は、外国人が打率上位を占める中で5位と頑張っています。
 要は投手なんです。DeNAは中継ぎ・抑えが入れ替わり立ち替わりみたいなところがありますからね。今のところ“こいつが出てきたらイヤだな”って思える投手がいない。例えば故障離脱中の山口俊投手(4勝2敗7S、防御率4.05)あたりがいい形で復帰して、ソーサ投手(2勝2敗7S、防御率2.73)らと一緒に勝ちパターンを作ることができれば、上にあがる可能性がより大きくなるチームなんです。得点はリーグ1位ですから」

――DeNAが上がってきたら、ペナントも盛り上がりそうですね。

「夏場は完投が少なくなるし、疲れが出てくるピッチャーも多い。やっぱり打ち合いになるんですね。その打ち合いの中で、最後に競り勝つか負けるかですから、DeNAのブルペンにもうひとりふたり安定感のある投手が出てきたら面白くなるでしょう。これからは、どの球団も中継ぎ以降の出来が勝敗を左右します。セ・リーグで巨人や阪神より上に行くのは現実的に難しいでしょうが、選手たちには最後まで諦めず、勝つために熱くて魂のあるプレイを見せてほしいと思います」
(記録はすべて7月23日現在)


工藤公康 1963年5月5日、愛知県生まれ。西武―ダイエー―巨人―横浜―西武。1982年から2010年の現役生活29年で224勝142敗。現在は野球解説者として活動するかたわら、チームに貢献する魂あふれるプレーを表彰するNPB承認の特別表彰ジョージア魂賞の選考委員も務める(http://www.georgia.jp/baseball/)。

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