工藤公康が語る「後半戦注目はベイスターズ投手陣だ!」

  • 島村誠也●文 text by Shimamaura Seiya

ここ10年で8回の最下位を経験しているベイスターズだが、今後の投手陣の頑張り次第ではAクラスの可能性も!?(写真は山口俊投手/日刊スポーツ)ここ10年で8回の最下位を経験しているベイスターズだが、今後の投手陣の頑張り次第ではAクラスの可能性も!?(写真は山口俊投手/日刊スポーツ) プロ野球はまもなく後半戦がスタート。セ・リーグは巨人と阪神によるつかず離れずの首位争いと、他4球団による3位をめぐる戦いの様相。そこにはペナントレースが2つあるようにもみえる。いっぽうのパ・リーグは、首位楽天から最下位オリックスまでの差が7.5ゲーム。大きな脱落球団はない。果たしてセ・パの今後の展開はどうなっていくのか、野球解説者で、ジョージア魂賞の選考委員も務める工藤公康氏に、注目するポイントを聞いてみた。

 工藤氏は前半戦で印象に残ったチームとして、楽天と阪神を挙げた。先のオールスターでは、その両チームの選手を取材。前半戦好調の要因として、4人の新加入選手の名前を聞いてきたそうだ。

「楽天は田中将大投手が13連勝で前半を終了。チームの貯金が12個なので、彼ひとりが活躍しているようにも見えますが、オールスターの時に話を聞いた楽天のある選手によれば、『ジョーンズ選手(17本塁打。62四球は両リーグトップ)とマギー選手(18本塁打。打率.290)が4番と5番に固定されているのが大きい』と。楽天は球団誕生以来、なかなか打線が固定できずにいましたが、今季はチームの型がしっかり出来たことで安心してプレイできるようになったということです。
 チーム事情にもよりますが、打線は6人くらいが固定されているといいんですね。楽天は1番打者から5番打者まで固定され、8番に嶋基宏捕手がいる。味方ピッチャーも投げていて安心感があると思います。逆に毎試合、誰が出てくるかわからない状態では"これで大丈夫なの?"って不安になるんですよ」

 阪神からは西岡剛選手と福留孝介選手の名前が出た。
 
「藤井彰人捕手は、このふたりの加入によって『今年は得点が入るという雰囲気がチーム全体にある』と言ってました。去年は得点能力が低かったですからね。打線が点を取ってくれないと、投手は点を取られないピッチングをしなければならない。それが1、2点の失点なら大丈夫となれば、気持ちが楽になって内容が良くなるケースは非常に多いんです。投手が登板までの日々をリラックスした状態で過ごせる。これは大きいですね。
 福留選手は今はケガで試合に出ていませんが、後半戦に彼が戻ってくれば、他の選手も落ち着いて野球ができる。そういう面でチームに貢献できる選手だと思います」

――楽天、阪神ともに"安心して野球ができている"ということが好調の要因と?

「みなさんの仕事も同じだと思います。仲間たちがそれぞれの役割をきっちりこなせば、自分は自分の仕事に集中でき、チームに貢献できる。魂のこもったプレーができる。でも、あれがないこれもない、あっちもこっちもやれとなればストレスがたまりますよね」

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る