ロッテ・西野勇士、試練を乗り越えパ・リーグ初の育成から新人王なるか?
監督推薦でオールスターの出場も果たした西野勇士 昨年までは育成選手だった投手が、頭角を現している。ロッテ・西野勇士。22歳の若き右腕だ。
6月を終わった時点で13試合に登板し、7勝2敗、防御率2.15と好成績をマーク。先発した12試合のうち10試合でクオリティ・スタート(先発投手が6回以上投げ、3点以内に抑えること)を達成している。成瀬善久(6月末時点で6勝)や唐川侑己(同4勝)といった主力投手を上回る活躍で、いまロッテ投手陣の柱とも言える存在になった。
「エース? 少なくとも2、3年続けてチームに2ケタ以上の勝ち星をもたらすのがエースでしょう。そんな意識は少しもありません」
そう語る西野の表情には、まだどこかあどけなさが残っている。
今から5年前。富山県立新湊高校時代の西野は最速143キロの直球とスライダーで打者を打ち取るタイプの投手だった。大学進学を勧める声もあったが、本人の希望はプロ一本。2008年の育成ドラフトでロッテから5位指名を受け、入団した。
2009年から2012年までにイースタン・リーグで40試合に登板して2勝7敗、防御率3.17という成績を残し、昨年11月10日に晴れて支配下登録選手となった。今春のキャンプは二軍スタートだったが、2月末に一軍に合流。オープン戦で結果を出すと、開幕から一軍メンバーに入った。
3月30日のオリックス戦でプロ初登板を果たすと、4月8日の楽天戦ではプロ初先発で7回を無失点。育成出身の投手が初先発で白星を手にするという、史上初の快挙を成し遂げた。それ以来先発ローテーションの一角に定着し、順調に白星を積み重ねている。
ここまで着実に階段を駆け上がることができたのは、なぜなのか。その理由を斉藤明雄投手コーチに聞くと、こんな答えが返ってきた。
「決して『急に』というわけではないんですよ。昨秋のキャンプで見た時から、腕の振りが良くて、真っ直ぐは速いし、フォークの落ちもよかった。オープン戦では打たれたこともあったけど、投げっぷりがよかった」
1 / 3