投手・大谷翔平、2つの「カーブ効果」で覚醒近し

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ソフトバンク打線を5回途中1失点に抑え、プロ2勝目を挙げた大谷翔平ソフトバンク打線を5回途中1失点に抑え、プロ2勝目を挙げた大谷翔平吉井理人の「投究論」 第1回

 日本ハムの大谷翔平が7月4日のソフトバンク戦で今季5度目の先発マウンドに上がり、5回2/3を被安打6、奪三振2、四球4、失点1に抑え、見事2勝目を挙げました。本人はあまり調子が良くなかったとコメントしていたみたいですが、私はどんどん良くなっているなという印象を受けました。

 きっかけは前回登板した6月26日のソフトバンク戦にあったと思います。あの試合で大谷はカーブが通用することがわかった。空振りも取れるし、タイミングを外すのにも有効だし、何よりストレートが生きる。自信のある球を手にしたことで、ピッチングの幅がものすごく広がりましたよね。昨日の試合でもカーブをうまく意識させながら、ストレートで攻め込んでいました。

 初回、二死二、三塁のピンチで前回の対戦でホームランを打たれている長谷川勇也に対して、153キロのストレートで空振り三振を奪いましたが、その2球前に101キロのカーブで見逃しを奪っている。そして3球目は同じコースに151キロのストレート。この2球目に投げたカーブが非常に効果的でした。バッターの中では、もう1球来るかもしれないという思いがどこかであったかもしれません。最後の球は明らかにタイミングがずれていましたらかね。例えばですが、カーブを投げた後に同じところからチェンジアップという球も効果的だと思います。1球使える球が増えれば組み合わせが広がり、配球も変わってくる。昨日のピッチングを見る限り、これまでの"ただ投げるだけ"から"プロのピッチング"に変わってきたなと感じました。

 ピッチャーにとって、カーブを投げることはすごく勇気のいることなんです。大谷の場合は、フォームが緩むことはないし、スピンの効いた特殊なカーブですのでそこまで怖くはないかもしれませんが、いずれにしても遅い球を投げるというのは勇気がいります。でも、いろんなバッターから話を聞くと、カーブを嫌がっている打者は意外と多い。「タイミングが合わない」「無理に打ちにいって凡退したくない」など理由は様々ですが、バッターにとって厄介な球種であることは間違いありません。だから、昨日の試合でもどれだけカーブを意識させることができるのかがポイントだったのですが、うまくできていたと思います。

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