巨人の独走阻止へ。セの5球団が東京ドーム以外で勝ち越す方法 (2ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

「特に東京ドームの試合は、どうしても一発が怖い。そこでアウトコース中心の配球になりがちだが、ジャイアンツ打線はそこを踏み込んでくる。だからインコースを使うことは必須だが、投手の方がしっかり投げないと意識過剰になってかえってやられるケースが多くなる」

 与田氏も続く。

「セ・リーグの投手はジャイアンツ打線の一発に過敏になり過ぎているのかなと思います。東京ドームをはじめ、セ・リーグの球場は狭いですから、どうしても一発を警戒して、アウトコース中心の配球になってしまう。当たり損ねでも入ってしまう東京ドームは別として、他の球場でも同じような攻め方をしているような気がします。逆にパ・リーグの投手陣は普段から広い球場で投げているせいか、インコースを思い切り突いてくる。かといってインコースばかりを攻めているわけではない。うまくインコースを意識させて、最後はアウトコースで勝負という配球も多かった。セ・リーグの投手がストライクゾーンの半分しか使っていないのに対して、パ・リーグは左右いっぱいを使う。ジャイアンツが苦戦した大きな理由はそこにあったと思います」

 また、巨人OBの評論家、槙原寛己氏は「阿部対策」を説く。

「阿部が本塁打を打った試合の勝率が高いのは有名。阿部が打つかどうかで試合が決まることが多い。当然、阿部をどう抑えるかが重要になるが、簡単なことではありません。それなら前後の打者を封じて、阿部を孤立させるのが次善の策ということになる」

 実際、交流戦で3番の坂本勇人は打率.248に抑えられ、本塁打は0本。5番のロペスは打率こそ3割を超えたが、本塁打は東京ドームでの日本ハム戦で放った1本のみ。ちなみに、阿部も交流戦で7本の本塁打を放ったが、東京ドーム以外では西武ドームの1本に留まっている。吉井氏は自らの体験から次のように語る。

「ヤクルト時代、神宮球場で何度も投げましたが、あの球場は不思議とライト方向への打球が伸びない。おそらく上空で風が吹いていると思うのですが、あまり本塁打が出る印象はありませんでした。だから、たとえ相手が阿部であっても、もっと大胆に攻めていいと思うんです。ヒットならOKのつもりで勝負する。その上で打線の中で好不調を見極め、誰でアウトを取るのかといったゲームプランをしっかり立てる。それだけでも大きく変わってくると思います」

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