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不調なのに今季6勝0敗。エース田中将大はなぜ勝てる?

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

開幕から無傷の6連勝を記録している楽天の田中将大開幕から無傷の6連勝を記録している楽天の田中将大 東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大が、交流戦開幕戦となった5月14日の横浜DeNAベイスターズ戦で無傷の6勝目を挙げ、自身の昨季からの連勝記録を10に伸ばした。勝ち星は12球団でトップ、防御率2.08はリーグ5位、奪三振45個もリーグ5位。数字だけを見れば、「やっぱりマー君は違う!」、「さすがは一昨年の沢村賞投手」となる。

 ところが、実際にマー君のピッチングを目の当たりにした人たちから聞こえる声は、少し違っている。決して本調子ではないという意見が多いのだ。

「ボールが走ってないんですよ」

 今年の田中について、そう指摘するのは、一昨年まで楽天で一緒にプレイしていた山村宏樹氏だ。引退後は解説者としてマー君の投球をつぶさに見ている同氏は続ける。

「一昨年に18奪三振を取った試合(2011年8月27日/福岡ソフトバンク戦)は、本当にすごかった。ストレートは140キロ台後半でしたけど、簡単に三振が取れた。でも、今年は球速が出ているときでも打たれているんですよ。開幕直後の2、3試合は全体的に悪かったけど、中でもスライダーが全然ダメ。その後、スライダーが良くなったけど、今度はストレートが走らない。ここ2、3試合は真っすぐが良くなって変化球も生きてきたけど、本来の田中のピッチングから考えれば、内容はまだまだですね」

 14日のDeNA戦では、4回の多村仁志の打席で自己最速タイとなる155キロを投げ込むなど、田中のストレートは球速表示で何度となく150キロを超したが、ブランコに特大ホームランも浴びるなど7本のヒットを許した。今季の被安打数は50。これはパ・リーグ4位タイの多さだ。また、8イニングを投げた4月23日のオリックス・バファローズ戦では、自己ワーストの15本もの安打を打たれている。

 その理由として、昨年まで北海道日本ハムファイターズの投手コーチとして相手ベンチから田中を見てきた吉井理人氏は、WBCの影響を口にする。

「今年は準備に失敗したという感じですね。4月は表情が良くなかった。マー君はオープン戦でイニングを多く投げないといけないタイプかもしれないですね。開幕前に投げた球数が足りなかったのかな。不安なままシーズンに突入した感じだったんでしょう」

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