【WBC】急成長中。緻密さと力強さを兼ね備えたブラジルに要注意!

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi

150キロを超えるストレートが魅力のアンドレ・リエンゾ150キロを超えるストレートが魅力のアンドレ・リエンゾ 第3回大会を迎えるにあたり、WBCは野球の底辺拡大と普及をテーマに、これまでWBCに出場経験のない国や未勝利の国を対象に、昨年秋に世界4地区で「予選ラウンド」を行なった。そのうち、パナマ地区予選でメジャー選手が居並ぶ強豪のパナマを破り、本大会への出場を決めたのがブラジルだ。「野球版・カナリア軍団」は、本家のサッカーに負けず劣らず個性豊かで、投打ともにパワフルな選手が揃う。

 投手の注目株はエースのアンドレ・リエンゾ。まだ18歳だった2006年にホワイトソックスと契約し、昨シーズン3Aに昇格した本格派右腕だ。150キロを超えるストレートとスライダー、チェンジアップなどのコンビネーションが持ち味で、今春は40人枠にも入った。当初は、このリエンゾが日本戦に先発すると発表されていた。ところが来日直前、ホワイトソックスの春季キャンプ(マイナー)で登板したため、間隔がなくなった日本戦での先発は回避されてしまった。日本相手にどんなピッチングを見せるのか注目だっただけに残念だ。

 もうひとつ残念なことといえば、唯一のメジャーリーガーであるヤン・ゴメス(インディアンス/捕手)の出場辞退だ。ブルージェイズに在籍していた昨シーズンは、43試合に出場して4本塁打を放つなど、自慢の長打力をアピール。予選ラウンドでは4番・捕手として出場し、WBC初出場の立役者となった。戦力としてはもちろん、チームの精神的支柱でもあっただけに、ゴメスの不参加は痛い。そのあたりを首脳陣はどうカバーしていくのか。

 ブラジルの監督は、レッズの名ショートとして一時代を築き、昨年、野球殿堂入りしたバリー・ラーキンが、現役当時の背番号『11』を着けて指揮を執る。ラーキン監督は言う。

「予選を勝ち抜いて本大会に臨めたことは、選手たちにとっても十分な自信になったと思う。ゴメスの不参加は致し方ない。日本、キューバの強さは誰もが承知していることだが、野球はやってみなければわからないスポーツ。全力でぶつかって、満足いく結果を残したいと思っている」

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