【WBC】打倒ジャパンの秘策。
韓国代表が仕掛ける「ミツバチ作戦」とは? (2ページ目)
宋在祐(ソン・ジェウ)/1966年8月3日生まれ。一般紙ロサンゼルス支局を経て、1998年からメジャーリーグ中継解説者に転身。全国ネット局MBCのメジャーリーグ解説者として名を轟かせ、現在は、メジャーリーグ解説はもちろん、ESPN(韓国プロ野球中継)、OBS(オリックス戦中継)の解説者として人気。ラジオ番組、新聞連載なども多数。韓国でもっとも有名な野球解説者のひとりとされている。―― と言うと?
「彼の後ろには、朴熙洙(パク・フィス)をはじめとして頼りになるリリーフ陣が控えているからです。しかも今回の韓国ブルペンには、日本であまり知られていない選手が揃っています。WBCのような短期決戦の場合、これは非常に有利。初対戦であれば、どうしても投手が有利なので。韓国ベンチはそのような利点を生かしきると考えられます。言ってしまえば、張洹三は序盤だけ凌げばいいのです。そして少しでも疲れが見えたら、ワンテンポ早く次の投手をマウンドに続々と送って、日本のバッターが対応できないように先手、先手の継投をする。投手を最大限多く、早く投入する韓国の必勝パターン"ミツバチ作戦"ですね。柳仲逸(リュ・ジュンイル)監督のブルペン活用術が最大限に生かされるのは、他でもなく日本戦なのではないでしょうか」
―― 投手陣が日本打線を凌ぎ切れれば、"史上最強の打線"の援護が待っていると?
「その確率は高いです。韓国バッターが日本人投手の球種で一番苦手としているボールを知っていますか? 実はフォークボールなのです。韓国において日本人投手のイメージは、"フォークをうまく投げる"というもの。歴代WBCで韓国バッターは、とにかく日本のフォークを嫌っていました。しかしこの点に関しては、希望があります。韓国国内ではここ3~4年の間にフォークを投げる投手が増えたことで、以前よりバッターがフォークと向き合う機会が増えたからです。今大会はこれまでと違って日本のフォークボールにもある程度対応できるのでは、と私は考えています。また、李承燁(イ・スンヨプ)、李大浩(イ・デホ)、金泰均(キム・テギュン)と、日本の野球を経験した選手がチームの中心にいることも強み。彼らは日本に勝つための様々なノウハウを、チームメイトに伝授することでしょう。WBCの韓日戦は、韓国国内リーグで勝負するときとはスタイルが違うため、"日本との戦い方"を知っていなければなりません。彼らは、『日本の投手はこういうときにこう勝負してくる、だからこれを念頭に置け』などと、自分のノウハウをたくさん教えるはず。"打の3本柱"は、そういった意味でも頼りになる存在です」
―― 今回の日韓戦も激戦が予想されます。日韓戦を観る上でもっとも注視しているポイントを教えてください。
「『WBCで好結果を残すためには、日本に勝たなくてはならない』。韓国の選手、コーチングスタッフはもちろん、メディア、ファンの誰もがこんなイメージを持っています。前評判を抜きにして、韓日戦に挑むときの韓国は実力以上のもの発揮することが珍しくない。WBC韓日戦の結果を読むことは難しいですが、今回も白熱した試合になることだけは間違いないですね。韓日戦の傾向を振り返って分析すると、序盤に先発投手が崩れたチームが一気に苦しくなると言えます。それぐらい両チームには、いい投手が揃っていますから。先発が4~5回まで持つかどうか。これが大きな勝負ポイントとなるでしょう。注目は"序盤"ですね。序盤で点差をつけられてしまうようだと、双方ともにほとんど逆転は不可能でしょう。韓国が逆転可能な点差は3点まで。つまり、序盤をその程度の点差で抑えることができれば、韓国にも十分勝機が出てくると思います」
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