【WBC】打倒ジャパンの秘策。
韓国代表が仕掛ける「ミツバチ作戦」とは?
前回の2009年WBCでも日本と韓国は4度対戦し、2勝2敗と互角の戦いを繰り広げた韓国ナンバーワン野球解説者が語るWBC韓国代表の実力(後編)
4勝4敗。日本と韓国のWBCでの通算対戦成績は、まったくの五分と五分だ。"宿命のライバル"の決着は、今大会に持ち越されている。そして早ければ3月8日の第2ラウンド1回戦で両雄の激突が実現する。韓国ナンバーワン野球解説者・宋在祐(ソン・ジェウ)氏の明かす山本ジャパン評と韓国の"日本戦必勝法"とは?
―― 第2ラウンド初戦で日韓戦が実現する可能性があります。海外組がごっそり抜けている今回の日本代表を、韓国はどのように見ているのでしょうか。いくらか「与(くみ)し易い」と考えているのでは?
「今回の日本代表は海外組がひとりもいないですが、相変わらず層が厚いという印象ですね。ダルビッシュ有や松坂大輔のような絶対的エースがいたとしても、今のチームとそれほど大きな戦力差はないのではと考えます。韓国と日本の差については、第1回、第2回と韓国代表監督を務めた金寅植(キム・インシク)監督がこうおっしゃっていました。『お互いの代表チームだけを見てみると、それほど大きな実力差はないと思える。しかし、日本は同じようなチームをもう1チーム作れる』。韓国にそんなことはできない、つまりそれぐらい日本の選手層は厚いというわけです。だから今回の日本代表に海外組がいないからといって、韓国は少しも楽観視していません。今回の日本代表、ピッチャーでは田中将大が先発の軸になるだろうし、キャッチャーの阿部慎之助は要注意人物。阿部は打線の中心で、守備においてもピッチャーをうまくリードする。リーダーシップも強い。彼は韓国でも非常に評価が高い選手です。攻守の要となる選手であるため、韓国はどうにかして彼を崩さなくてはならない。あくまで韓国は挑戦者の立場でしょう」
―― 日本の選手層の厚さを考えたとき、"左腕3本柱"不在の韓国投手陣に不安は感じますか?
「確かに、今回の左投手陣を歴代の選手に比べてみると、どれだけひいき目に見ても互角以下と言わざるを得ないでしょう。以前の韓国であれば柳賢振(リュ・ヒョンジン)、金廣鉉(キム・グァンヒョン)、奉重根(ポン・ジュングン)が投げれば、どんなに悪くても6回まではいくという自信がありました。しかし今の先発陣には、そんな自信はない。投手陣が韓国の不安材料ということに間違いはないです。ただ、これまでのWBC韓日戦を振り返ると、特に前回大会の"日本キラー"奉重根を見ればわかるように、韓国が左腕エースで日本戦に臨んだときの成績は目に見えていい。今回もその経験を生かして、左腕エースをぶつけることでしょう。そうなると先発最有力は、最多勝投手の左腕・張洹三(チャン・ウォンサム)。球速は最高で145キロ、平均だと140キロほどで、速いボールを投げるピッチャーではありません。金廣鉉や柳賢振のように150キロのボールで、相手をグイグイ圧倒するピッチングではなく、コントロール、変化球、配球で勝負するタイプです。彼はWBC前回大会にも出場していますし、2011年アジアシリーズの決勝戦では福岡ソフトバンク相手に好投しています。その大会ではMVPにも輝いていますね。これまでの韓日戦を振り返ると、力で押さえつけるタイプのピッチャーを起用したときの方が有利に試合を展開しているわけですが、国内リーグを代表する張洹三であればきっちりと仕事をしてくれるはずです。彼は試合の序盤をうまくまとめてくれればいいのですから」
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