2012.11.20

【プロ野球】問題だらけの「侍ジャパンvsキューバ」。
これでWBCをまともに戦えるのか?

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

若い選手の活躍もあり、キューバに連勝した侍ジャパン  真っ昼間、博多で馴染みの鮨屋の暖簾(のれん)をくぐった。

「あれっ、珍しい。なんでこんな時期に博多に来よると?」

 鮨屋の大将の、聞き慣れた濁声(だみごえ)が響く。

 じつは今日、侍ジャパンがキューバと福岡で試合をするから見に来たんだと伝えると、大将は素っ頓狂な声をあげ、大袈裟に驚いてみせた。

「えっ、ありゃ、そうでしたか。いやね、僕は野球はかなり好きですけど、そりゃ、知らんかったとです。そういう試合が近々あるっちゅうことは聞いとったけど、今日やったとですか」

 細かい博多弁のニュアンスには自信がないが(苦笑)、実際、福岡でのこの日の試合のチケットは前売りで1万枚が売れている程度だという話は聞いていた。相変わらず、NPBは告知が下手だ。たとえば最近のパ・リーグ各球団がメールやツイッターを駆使して、いかにファンを球場に呼ぶか、あれこれ腐心しているのを知っているのだろうか。日本代表とキューバの試合を宣伝するはずのポスターにしても、”侍ジャパンマッチ2012”“JAPAN VS CUBA”でっかく書かれているだけで、この試合がいつ、どこで行なわれるのかがさっぱりわからない。よーく見れば、一番下にとても小さく”11月16日、福岡YAHOO!ドーム”“11月18日、札幌ドーム”と書いてある。こんなオシャレぶったポスターを作って悦に入ってる場合かと、情けなくなってしまった。なぜならこの2試合、NPBは何としても観客を集めなければならない理由があったのではなかったか。

 国際野球連盟が発表している今年の世界ランキング1位、キューバ代表との親善試合。ここにはもちろん第3回WBCに向けた日本代表の強化試合という意味合いもあったのだが、それだけではなく、常設化された侍ジャパンとして、WBCから切り離されたNPBの新たな財源となるはずの貴重な興行という側面があったはずだ。だから、選手たちのユニフォームや帽子には侍ジャパンのロゴが入り、WBCという文字はどこを探しても見つからない。これが来年の本番になると侍ジャパンのロゴがWBCのロゴにつけ変わり、”侍ジャパン”から”WBC日本代表”になる、という構図である。この夏、選手会がWBCをボイコットすると言い出し、そのせいでようやく重い腰を上げたNPBがWBCサイドとさまざまな交渉を重ねた結果、NPBに利益がきちんと入るよう勝ち取った仕組みの一 つだった。