【プロ野球】独走Vのジャイアンツ。クライマックス・シリーズに不安はあるか?

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

現在、リーグトップの14勝を挙げている内海哲也現在、リーグトップの14勝を挙げている内海哲也 ジャイアンツが早々とリーグ優勝を決めた。81勝38敗14分、2位の中日に11ゲーム差をつける圧勝劇。チーム打撃成績も投手成績もトップ。おまけに交流戦でも優勝するなど、まさにパーフェクトなペナントレースだった。この強さを見ると、次のクライマックス・シリーズ(CS)にもなんの不安もないように思える。だが、ペナントレースの成績がそのまま通用しないのが短期決戦の怖さだ。

「僕はもっと遅くに優勝が決まったほうがよかったんじゃないかと思っていました」

 ジャイアンツOBで野球評論家の槙原寛己氏にCSの展望を聞くと、まず、そんな答えが返ってきた。槙原氏に言わせると、ジャイアンツにとってCSで一番の不安材料は日程だという。

「優勝決定からCSのファイナルステージまで3週間以上も間が空いてしまう。これは実戦感覚ということでいえば、かなり不利な材料です」

 ここでいう"実戦感覚"とは、消化試合では研ぎ澄ますことのできない、緊張感の中でのゲーム感覚のことだ。槙原氏には現役時代、苦い経験がある。

「1990年のジャイアンツは9月8日に優勝を決めた。当時はCSがなかったから日本シリーズの開幕まで42日も間が空いてしまった。その間いろいろやったが、簡単には実戦感覚が戻らない。日本シリーズでは初戦をとられると、ズルズルと4連敗してしまった」

 この年のジャイアンツは、早々と優勝を決めたことでもわかるように、戦力は充実していた。「自分がかかわった優勝の中でも有数の戦力」だったという。しかし、1カ月半も実戦から遠ざかった末に大舞台に臨むのは、「相撲でいえば準備運動もしないで土俵に上がり、ぶちかましを受けるようなもの」で、相手の勢いになす術もなかったという。ちなみに相手のライオンズは優勝決定がジャイアンツより2週間遅かった。

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