【プロ野球】用心深き剛腕。大竹寛は若き広島投手陣の「最高の師」だ

今シーズン、前半戦8勝を挙げて完全復活を印象付けた大竹寛今シーズン、前半戦8勝を挙げて完全復活を印象付けた大竹寛安倍昌彦の投魂受けて~第24回 大竹寛(広島)

 今季、前半戦を終えて8勝2敗の成績をおさめている広島の大竹寛。チームメイトの前田健太、杉内俊哉(巨人)の9勝に次ぐ勝ち星を挙げ、防御率も2点台前半だから、登板した14試合でコンスタントな仕事ができているということだ。

 そして7月20日からはじまったオールスターにも出場した。プロ11年目で3回目の晴れ舞台。てっきり、毎年のように出場しているのかと思っていた。それほどに、広島カープのマウンドに「大竹」という存在感は大きい。

 そりゃあ確かに、前田も、野村祐輔も、球史に残る快腕になれる逸材たちだが、やはり「エース」という称号を冠するには、それなりに「歴戦の貫禄」というものが必要だろう。

 ならば、それは大竹だ。

 苦労の厚みが違う。三振の山も築くが、四球は出す、ワイルドピッチは犯す、ボークはとられる。だから失点も多く、防御率は4点台から5点台。ボールは素晴らしいものを持っているのに、なかなか勝てない。負け数がリーグのワーストを記録してしまったシースンが2度もあった。

 シュートを覚え、チェンジアップも覚えた。時間差と高低差。ピッチングの世界が立体的に広がり、2009年には43イニング無失点を記録した。「安定感」という、それまでとは対極にある個性を発揮しはじめた。

 しかしその矢先、右肩を痛めてしまった。一昨年、昨年と、大竹は2年間で9試合しか登板していない。

 そして故障が癒えた今年。ストレートだって140キロ後半が出せるのに、スライダーとチェンジアップでタイミングを外し、シュートで詰まらせて内野ゴロの山を築くピッチングで、「勝てる投手」として奮闘している。

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