【プロ野球】「嬉しい誤算」は生まれるか?
逆襲の鷹へ、ソフトバンクが動き始めた!

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Nikkan sports

交流戦の打率.198と極度の不振に陥った内川聖一交流戦の打率.198と極度の不振に陥った内川聖一 パ・リーグ3連覇を狙うソフトバンクが苦戦している。6月20日現在、62試合を戦い終えて27勝30敗5分の借金生活。かろうじて3位タイながら、首位ロッテには8ゲーム差引き離されている。

 特に交流戦での大失速が痛かった。最下位こそ免れたが、8勝13敗3分。これまで7年間の交流戦では12球団最多となる3度の優勝を飾り、通算勝率も.631とトップだった。そのソフトバンクにいったい何が起きているのか。

 誤算が誤算を生む「負の連鎖」――最大の誤算は先発陣にあった。

 今季のローテーションは攝津正をエース格に、23歳左腕の山田大樹、過去に2ケタ勝利の実績がある新垣渚や大隣憲司が名を連ね、この他に岩嵜翔や大場翔太が続く。しかし、台所事情は苦しい。攝津は現在6勝も、5月以降は2勝と失速気味。若い山田は5勝を挙げているが、年間を通してローテーションを守った経験がないために夏場以降は「?」がつく。実績組にしても新垣が2ケタ勝ったのは06年が最後。大隣は08年の一度のみだ。

 今季のソフトバンクが先発で苦労するのは目に見えていた。和田毅、杉内俊哉、ホールトンという昨季計43勝の投手陣が退団。しかし、だからこそ彼らの穴を埋めるべく十分な補強をしたはずである。だが、先発陣に新戦力の名前はまるで見当たらない。

 今やすっかり過去の人となったブラッド・ペニー。メジャー通算119勝と06年最多勝の輝かしい実績を引っ提げて来日したが、4月4日の東北楽天戦(Kスタ宮城)に3回1/3で64球を投げ6失点で負け投手になると、右肩痛を訴えて戦線離脱。その後はろくにリハビリや練習もしないまま5月8日に退団した。2月の入団会見で「日本でも最多勝を獲る」と自信満々に語っていたのは何だったのか......。

 さらに、FAで補強した帆足和幸もここまで登板は1試合のみである。西武で過去4度の2ケタ勝利をマークした安定感を買っての獲得だったが、調整遅れが響いて開幕ローテ入りすらできない異常事態。4月15日のロッテ戦(ヤフードーム)でようやく一軍マウンドへ。だが、3回途中4失点でKOされると、現在は左肩の不調で二軍戦の登板すらできていない状況だ。

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