【プロ野球】三浦大輔「大きな支えとなった宮本慎也さんからのアドバイス」 (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

――歳をとれば必然的にやり方を変えなければいけない。

「10年前と肉体は確実に違いうし、やっぱり新しいことを採り入れなくちゃパフォーマンスは維持できない。だから一昨年ぐらいは葛藤じゃないけど試行錯誤の連続でした。体力が落ちてきているから、体を鍛えなければいけない。だけどハードにやり過ぎると回復が遅くなり疲れが残る。逆にゆるめ過ぎると体力に不安が残り、パフォーマンスに自信がなくなる。このバランスが難しいというか、結構悩みましたね。ここにきて、ようやく整ってきましたけどね」

――何かヒントはあったんですか?

「人の話は参考にしましたよ。例えば、投手打者にかかわらず、長く現役をやって退いた解説者の方にベテランになってからどのように過ごしていたのかを訊いたりしました。それに昨年、(宮本)慎也さんに『オレもそうだったけど、ここの壁を越えたら、まだ40歳までできるよ』とアドバイスをいただきました。ちょうどその頃、これからどうやっていけばいいのか迷っている時期でもありましたし、その言葉によって『今を頑張るしかない』と吹っ切ることができました。何気ない一言ですけど、僕にとっては大きな支えになりましたね。ただ今のやり方が良いからといって続けていても、いつまで通用するかはわからない。フォームと一緒で、シーズンを通してちょっとずつ変えていこうと思います。まあ、とやかく言われる年齢になったけど、さっきも言ったように、まだまだやれる自信はあったし、苦しい時期、試行錯誤しているときも心だけは折れなかったんですよね」

――不屈の精神が今シーズンの好調につながっているわけですね。今シーズン開幕当初は中10日のローテーションでしたが、そのことも好結果につながったのでしょうか。

「開幕前からデニーさん(友利投手コーチ)と話して決めていたことなんですけど、勝って調子も良かったので、中10日間おかず投げさせてくれって言ってたんですよ。けど、入れ込む自分をデニーさんが押さえてくれた。鎖を引っ張るようにね(笑)。チームも連敗していたし、自分としては早く投げたいんだけど。そのぶん、マウンドに上がった時は鎖を引きちぎって思い切り投げましたよ。考えてみれば、休んでいる時期に自分を客観視できたのが良かったのかもしれない。といっても開幕から2連勝したから良かったものの、これでもし負けていたら、心理としてかなり焦っていたと思います。自分は基本的に、打たれたら次の日にでも投げたいってタイプだから、中10日もあったらどうしてたんだろうって(笑)」

(つづく)

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