【プロ野球】久々に登場した巨人の高卒エース候補
宮國椋丞にかかる期待

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 日下康祐●写真 photo by Kusaka Kosuke

4月15日の横浜DeNA戦でも好投した宮國椋丞4月15日の横浜DeNA戦でも好投した宮國椋丞 ジャイアンツの2年目、19歳の宮國椋丞が堂々のピッチングを披露している。プロ初登板となった4月8日の甲子園でのタイガース戦で7回を3安打、1失点に抑えて初勝利を飾ると、15日の横浜DeNA戦でも勝敗こそつかなかったものの、7回を1失点(自責0)に抑えた。ジャイアンツの10代投手でプロ初登板初勝利を演じたのは、1983年の槙原寛己以来29年ぶりの快挙だった。

 昨年、ファームでルーキーだった宮國を指導していた元ジャイアンツの二軍投手コーチの小谷正勝(こたに・ただかつ)氏は、「間違いなく去年より成長している」と語る。

「1年目からストレートや変化球、フィールディングなど、投手に必要な要素は備えていたけど、力強さが足りなかった。それが今年はストレートに強さが出てきたから、ストライクゾーンで勝負できるようになった。開幕前のオープン戦で見たときはストレートが引っ掛かり気味で心配していましたが、8日の阪神戦ではよくコントロールされていた。阿部慎之助のリードもよかったね。要所で大きなカーブを投げさせ、投球の間合いを宮國に思い出させた。カーブを投げることで体はゆったり大きく使うことになる。それでボールが低めにいくようになった。ああいうフォームで投げている限り、大きく崩れる心配はないんじゃないかな」

 成長ぶりは体つきにも表われている。

「見た感じでひと回り大きくなっている。これは進歩だね。もともと黙っていればいつまでも練習しているタイプだから、心配はしていなかったけど。あとは、壁にぶち当たったとき、どうやって乗り越えていくかだろうね」

 1年目はファームで過ごし、2年目に初登板初勝利を甲子園で飾る。まさにそのプロセスは先に紹介した槙原氏と同じだ。その槙原氏はオープン戦の時から、宮國の活躍を予感していたという。

「僕の2年目の時(12勝9敗)と違ってコントロールは安定しているし、変化球でもしっかりストライクが取れる。開幕直前のメジャーとの親善試合で好投したように、大舞台でも物怖じしない。試合で使っていけば、それなりの結果は残すだろうと思っていました。だから、初勝利を挙げても、驚くことはなかったですね」

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