【プロ野球】田中将大との対決を前に、
斎藤佑樹がつかんだ揺るぎない自信
4月6日の試合でロッテ打線を7回2失点に抑え、今季2勝目を挙げた斎藤佑樹 確かに、斎藤佑樹のボールは動いていた。そして試合後のヒーローインタビューで、彼はこう言った。
「風がいいようにボールを動かしてくれたのかもしれません」
思わず、吹き出しそうになった。
果たして、そうか。
幾分か、風は手助けしてくれたのかもしれない。しかし、ボールを動かしていたのは風ではない。紛れもなく、斎藤自身である。斎藤がこう話していたことがあった。
「ボールを動かすのは得意です。いつでも、ほんの少しだけ、動かせます。打ち損じたバッターが、あれっという顔をするのを見るのは快感ですから(笑)」
それにしてもこの試合、いったい何人のバッターがあれっという顔をしていたことか。
チャンスで打ち上げた今江敏晃が、詰まらされた伊志嶺翔大が、バットを折られた岡田幸文が、そして空振り三振を喫したサブローが──。
「いつも通り、打てそうで打てない」(今江)
「何がええか、わからない。すべての球が打てそうだから、ボール球に手を出してしまう」(サブロー)
報じられた試合後のロッテの選手たちのコメントだ。
いかにも与(くみ)し易そうなボールがやってくる。本能で、つい力が入るのか、バットを振りにいく動作に力が入ってしまう。その瞬間、ボールが動く。斎藤のボールは140キロにも満たないのに、打った瞬間、快音が響かない。ボールを捉えるバットの音が"グワシャッ"という、クラッシュ系なのだ。
築き上げる凡打の山。
リズムよく、球数少なく、アウトは積み重なっていく。
いやはや、堂々のピッチングだ。
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