【プロ野球】背番号「55」の後継者・大田泰示、4年目の覚醒なるか?

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 青山浩次●写真 photo by Aoyama Koji

プロ4年目を迎えた大田泰示。激しいレギュラー争いを勝ち抜き、開幕スタメンを飾ることができるのか?プロ4年目を迎えた大田泰示。激しいレギュラー争いを勝ち抜き、開幕スタメンを飾ることができるのか? 将来の大砲、そして4番の候補として、鳴り物入りで2009年に巨人に入団した大田泰示は、今年で4年目を迎える。東海大相模高時代には通算65本塁打を放ち、プロ入り後も10年にイースタンリーグで21本塁打(リーグ2位)を放ったものの、ここまで一軍での出場は1年目が3試合、2年目が2試合、3年目が12試合に止まっている。昨年ようやく初ヒットが出たが、通算打率は.121。本塁打にいたっては、いまだ0本である。

 ドラフト1位でジャイアンツ入りを果たした松井秀喜の背番号「55」の継承者としては物足りない数字であり、入団時の期待が大きかった分、4年目にして早くも正念場を迎えたといえるだろう。

 高卒の大砲候補といえば、3年目もしくは4年目にきっかけをつかみ、その後才能を花開かせていくというパターンが多い。現役選手でいえば、昨年のパ・リーグ本塁打王・中村剛也(西武)、T-岡田(オリックス)、中田翔(日本ハム)といった面々である。

 大田と境遇が似ているのが、中田だろう。高校通算87本塁打を引っ提げ08年にプロ入りした中田は3年目までは大田と同様に一軍と二軍を行ったり来たりするようなシーズンを送っていた(大田と異なるのは3年目に9本塁打を記録している)。4年目の昨シーズンにレギュラーとして定着し、規定打席に到達した結果、18本塁打を放った。5年目となる今季は小谷野栄一と4番を争う立場にまで成長している。

 これまで数々の大砲を育ててきた野球解説者の水谷実雄氏は言う。

「1番や2番タイプの選手はたくさんおるけど、大砲の素質を持った人材というのは少なく、なかなか育ってくれないもんです。ただ、大きいのが打てるようになる選手は、入団の段階で何かひとつ、光るモノがある」

 水谷氏はコーチとして広島時代に江藤智(現・巨人打撃コーチ)や前田智徳、近鉄時代に中村紀洋(現・横浜DeNA)、そして福岡ダイエー(現・ソフトバンク)時代には城島健司(現・阪神)といった、入団間もない高卒選手を育て上げた。

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