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大谷翔平の身体にいま何が起きているのか エドマンの復帰を支えた専門家が語る「投打走」の負荷 (3ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Hideki Okuda

【大谷だからという理由だけで、出場させるつもりはない】

 では、球団は複数の負荷をどのように把握しているのか。

「私たちは、どれだけ投げ、どれだけ打ち、どれだけ走り、どれだけ試合に出たかを常に確認しています。走るスピードが通常どおりかということも見ています」

 球団は、大谷本人が伝える痛みや疲労の感覚だけで状態を判断しているわけではない。投球数、スイング量、走行量、出場時間に加え、走るスピードが通常の水準にあるかなどを日々モニターし、その変化を確認している。そこに本人の感覚や反応を重ね、次の段階へ進めるかを判断する。

 マクダニエルは大谷について「コミュニケーション能力が高く、自分がどう感じているかを伝えてくれる」とも話している。本人の訴えと客観的な情報のどちらか一方ではなく、その両方を使って管理しているということだ。8月末には、ブルペン後の身体の反応を大谷が伝えたことで、投手復帰にストップがかかった。9月3日には、打席で目に見える異変が表われたことを受け、監督が休養を決めた。球団は状態を観察するだけでなく、実際に負荷を減らす段階へ入った。

 大谷には、身体が動く限り出場し、投打で貢献しようとする強い意志がある。だがロバーツ監督は、「ユニフォームの背中に大谷と書かれているからという理由だけで、出場させるつもりはない」と言いきった。これまで大谷自身が主導してきた判断の一部を、球団側が引き取る段階に来たことも認めている。

 数日間スタメンから外すことで十分なのか。さらに時間が必要なのか。それとも故障者リスト(IL)に入れてまとまった休養を与えるのか。投手としての調整を続けるのか。答えはまだ出ていない。

 二刀流とは、投げて打つ能力だけを指す言葉ではない。投球、打撃、走塁という性質の異なる負荷を一つの身体で受け止め、シーズンを戦い抜く挑戦でもある。10月に本来の大谷を取り戻すため、どの負荷を減らし、どの役割を残すのか。ドジャースは、本人の感覚と日々蓄積した客観的なデータを突き合わせながら、その答えを探している。

著者プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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