打者・大谷翔平は"100%"で振らなくてもいい 「75%でもエリート」ドジャース打撃コーチが語る32歳の進化 (2ページ目)
【2.大谷が実行するパワーの使い方の変化とは】
「選手によって違いますが、それぞれに『どれだけ余裕を持っているか』というものがあります。例えば、とても力が強くて、非常に速くバットを振れる選手なら、多少バットスピードを落としたとしても、それでもなおエリートレベルでいられるだけの余裕があります。ムーキー・ベッツを例にすると、ムーキーの場合は、常に彼らしい打者でいるためには、自分のトップレベルに近いスピードでバットを振る必要があると思います。でも翔平の場合は違います。
翔平なら、自分の75%くらいの力で振ったとしても、それでもまだエリートレベルの打者でいられる。それくらい、ほかの選手と比べても体が大きくて、力が強いからです。そして、年齢を重ねてきて、しかも投手としても打者としてもプレーするようになるなかで、彼自身も"毎回100%で振らなくてもいいんだ"ということに気づいてきたのだと思います。
例えば75%くらいの力で振って、それによってより優れた打者になれる。より多くのボールを芯で捉えることができる。そうであれば、そのほうが結果として生産性の高い打撃になると思います。もちろん、100%の力で振れば、シーズンでホームランがあと2本、3本増えるかもしれません。でも、その代わりに三振も増えるかもしれない。そうなると、"どちらの打者がいいのか"という話になります。例えば、打率3割で40本、あるいは37本のホームランを打つ選手。それとも、打率2割8分で57本のホームランを打つ選手。どちらがいいですかということです。
もちろん数字を詳しく分析すれば、どちらのほうが価値が高いかという答えは出せるでしょう。でも、打者自身に聞けば、おそらく前者を選ぶと思います。なぜなら、アウトになってダグアウトへ戻ってくる回数が少なくなるからです。そして翔平の場合、パワーを出すということに関してかなりの"余裕"があります。つまり、少し出力を落とすことができる。いわばパワーのダイヤルを少し下げても、それでも十分に優れた打者でいられるんです」
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