【MLB】評価の分かれる村上宗隆はどうなる? シュワーバー、アロンソの大物野手が契約決定のなか提示契約条件や獲得希望チームは? (2ページ目)
【大物FA選手の動向が決定した影響は?】
前述のスカウトは、村上と筒香の相似に完全に同意したわけではないが、獲得したチームにとってリスクの大きな補強になることは繰り返し述べていた。
「筒香に共通点がある? そのとおりかもしれないが、村上のほうがよりパワーがあり、まだ若いだけに伸びしろは残っている。だからアメリカでスターになっても不思議はない。ただ、その一方でかなり苦しんでもまったく驚かない。日本人野手としては初の9ケタプレーヤー(年俸総額1億ドル以上)になるかが注目されているが、可能性はあると思う。個人的にはそこまで払うべきではないと見ているが、争奪戦のなかでそれだけの額を提示するチームはあるかもしれない」
これまで多くの日本人投手がメジャーで活躍し、「エリートレベルの投手は通用する」という通説は確固たるものになった印象がある。その一方で、野手で成功を収めたと言えるのは松井秀喜、イチロー、大谷翔平などごく一部。前述の筒香、秋山翔吾、西岡剛、福留孝介、松井稼頭央など打撃面でアジャストメントに苦しんだ選手は数多いだけに、判断は余計に難しい。そういった背景もあって、村上には最終的にどのチームがどういった契約を提示するのかは実に興味深い。
ウィンターミーティング開始前、『MLBネットワーク』のジョン・モロシ記者は今オフの左のパワー打者マーケットをこう予測していた。
「村上の決定はカイル・シュワーバーよりも安くなるだろう。年齢的には若いだけに契約年数はより長くなっても不思議はないが、少なくとも平均年俸はシュワーバーより下。ただ、金額的には岡本よりは上になる。村上を気に入っているチームはかなりあるが、三振の多さに対する懸念は消えないようだ」
通算340本塁打のシュワーバーは9日、5年1億5000万ドル(約225億円)の新たな契約でフィラデルフィア・フィリーズに残留することが決定した。さらに10日、ニューヨーク・メッツからFAになった通算264本塁打のピート・アロンソも5年1億5500万ドル(約232億5000万円)でボルチモア・オリオールズと契約に合意した。上位が動いたことで、序列的にはここから村上のマーケットも本格的に活発になると見られている。だとすれば、カウントダウンは始まっている。
アロンソを失ったメッツが本腰を入れて動くのか。シュワーバー取りに参戦していたと報道されたシンシナティ・レッズ、ピッツバーグ・パイレーツといったチームが代わりに村上に視線を向けるか。それとも......。
「村上に関する情報があるのなら教えて欲しいくらいだよ」
上記のスカウトは立ち話の最後にそう述べていた。実際に25歳の日本人スラッガーにどのような条件が提示され、最終的にどのチームに落ち着くのか。
多くの球界関係者が注意深く見守っていることは間違いない。
つづく
著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう
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