ドジャース第7戦は紙一重の勝利 9回攻防の主役ミゲル・ロハスは満身創痍だった (2ページ目)
【ドラマが凝縮された最高級の戦い】
優勝後にグラウンドで9回のプレーについて振り返るロハス photo by Sugiura Daisuke
「あの最後のプレーの時も痛みはあった。あれをギリギリのプレーにしてしまったのも、痛みのせいが少しあったかもしれない」
実際にロハスは延長11回、スミスの本塁打でドジャースが勝ち越した直後の守備から交代している。「自分の役目は果たせたと思った。あとは山本が抑えてくれるから」と振り返ったが、その身体はもう限界に達していたのだろう。
もし9回表の打席に立てないほどに痛みがひどかったら? あるいは9回裏の守備にさらに支障があるほどに肋骨が悪化していたら?
このエピソードは、ベースボールの魅力が詰まったようなワールドシリーズ第7戦の勝敗が本当に紙一重だったことをあらためて示している。9回表裏という1イニングでは語り尽くせぬ、凝縮されたドラマがあった。特に9回裏1死満塁、あのワンプレーを制したドジャースが最終的には世界一を手繰り寄せることになる。
加えて言えば、その直後のプレーもドラマチックだった。2死満塁からアーニー・クレメントの大飛球をアンディ・パヘス中堅手がキケ・ヘルナンデス左翼手と衝突しながらフェンス際で好捕し、試合は延長へ。絶体絶命のピンチを脱したドジャースは、山本由伸の力投を糧に、延長11回についに死闘を終わらせることになったのである。
「今日、ドジャースがワールドチャンピオンで締めくくることができて、すごくやりきったという達成感、喜びを感じます。全員が出しきった。僕は今日、2日連続で投げましたけど、ほかの選手もギリギリのコンディションでもできることを全部やってプレーしたので、本当に気持ちがひとつになった結果だと思います」
3試合で合計17回2/3、235球を投げきった山本の言葉はシンプルではあったが、何よりも実感がこもっていた。
百戦錬磨の選手たちが傷つき、疲労し、追い詰められた状態でも力を発揮したのだから、ドジャースは"王者"と称えられるに相応しい。
最後はもう、勝者も、敗者もなく。しばらくは忘れられないような場面が数えきれないほどあったのだから、ドジャースとブルージェイズが織りなした2025年のワールドシリーズは、やはり最高級の名勝負だったのである。
著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう
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