田口壮が「常識では考えられない」と語ったイチローの10年連続200安打の偉業はなぜ達成されたのか (2ページ目)
── イチローさんのメジャー挑戦が後押しになった部分はありましたか?
田口 行くこと自体は自分のなかで決まっていましたけど、正直、彼が首位打者を獲ってくれたおかげで「日本人野手もできるじゃないか」と、メジャーの評価が変わったのは事実。その恩恵はしっかり受けました(笑)。特に外野手は行きやすくなったと感じています。
【見たものに対して体が自然に反応できる】
── 実際にメジャーでプレーして、日本との違いは感じましたか?
田口 打球を上げるのが難しかったですね。キャンプではかなり苦しみました。
── 投手の球が速いことが一番の理由ですか?
田口 スピードに関しては、速いと感じたことはありません。ただメジャーのボールは動くので、そこにアジャストするのが難しかった。
── 当時、日本人選手はツーシーム系のボールに苦労したと聞いたことがあります。
田口 ツーシームにしても、大体の軌道はわかるのですが、最後の最後にキュッと変化してくるんです。その最後に曲がってくるのに苦労しましたね。「どうやって打てばいいのか」と、慣れるまでに半年近くかかりました。
── そう考えると、イチロー選手が1年目からあれだけ打てたのはやはり異次元ですか?
田口 すごいと思いますよ。内野安打も含めて「ヒットにする技術」がある。ああいうバッティングは、本当に才能と努力の両方ですね。
── イチロー選手のバッティングの優れている点はどこだと思いますか?
田口 目と体の連動ですね。見たものに対して、体が自然に反応できるというコーディネート能力。それが優れていると思います。
── それは練習で身につけるものなんですか?
田口 もちろん練習やトレーニングの積み重ねで質は上がります。でも、ある程度持って生まれたものもあるとは思います。毎日、数をこなして積み上げてきたからこそできたことだと思います。
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