大谷翔平、「二刀流」復帰が与えるドジャース2連覇のためのチーム編成&戦術への影響 (2ページ目)
【二刀流・大谷がもたらすロースターの柔軟性】
さて、大谷の「二刀流」復帰は、ドジャースにとって単なる話題性にとどまらず、チームの編成や戦略全体を根本から変えうる存在となる。特に注目すべきは、大谷がMLBで唯一の「二刀流登録」選手として、他球団にはないロースター構成の柔軟性をもたらす点である。
通常、MLBではアクティブロースターに登録できる投手は13人までと制限されているが、大谷は打者と投手を兼ねる"二刀流選手"として例外扱いされており、14人目の投手として登録が可能となる。これは編成上の"+1"に相当し、投手が手薄になりがちなシーズン後半において、極めて大きな意味を持つ。
現在、ドジャースはタイラー・グラスノーやブレーク・スネルなど、複数の主力投手を負傷者リストに抱え、先発ローテーションが手薄な状況にある。そうしたなか、大谷がまずは1〜2イニング限定の「オープナー」として復帰し、徐々にイニング数を伸ばしていくプランは、ローテーションの穴を埋めつつ、主力投手の回復を待つための時間稼ぎとしても有効だ。
さらに、大谷の存在によって投手枠が一人増えることになり、ブルペンの負担軽減にもつながる。すでに30試合以上に登板しているタナー・スコット、アレックス・ベシア、アンソニー・バンダらの登板過多によるリスク回避にもなる。
ありがたいのは、"オオタニ・ルール"の存在だ。かつては、先発投手が指名打者(DH)として出場した場合、投手が交代すると同時にDHとしての役割も失われていた。しかし、2022年の公式戦からは、先発投手が降板した後もDHとして打席に立ち続けることが可能になった。今季、大谷はすでにDHとして25本塁打(リーグ2位)、73得点(1位)、OPS1.039(リーグ2位)というトップレベルの成績を残している。このルールを活用することで攻撃力を損なうことなく、大谷を投手としても戦力化できる。
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