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いよいよキャンプイン ドジャース番記者が予測する佐々木朗希のメジャーリーグデビューのタイミング (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

【佐々木のメジャーデビューは春季キャンプの情勢次第】

 今オフ、ポスティングシステムを通じてメジャー入りを目指した佐々木の獲得に20チーム以上が名乗りを挙げ、大争奪戦になった。NPBでの佐々木が一度も年を通じて先発ローテーションを守った経験がないことは、各球団にとって大きなマイナス材料にはならなかったのだろう。理由はシンプルに現在の佐々木はマイナー契約の選手であり、安価で獲得できるルーキーだからだ。

 もしも佐々木がFAだったとしたら、その獲得のために総額2、3億ドル(約300、450億円)程度が必要だったはず。そうなっていたら争奪戦に参戦できる球団は限られ、耐久力の乏しさがゆえに手を引くチームも出てきていたかもしれない。ただ、ポール・スキーンズ(ピッツバーグ・パイレーツ)、スティーブン・ストラスバーグ(元ワシントン・ナショナルズ)と比較されるような才能の新人投手を年俸約650万ドル(約9億7500万円)のマイナー契約で獲得し、6年の保有権が得られるのであれば、当面の体力面の不安要素などはそれほど気にならないはずだ。

 佐々木はサイ・ヤング賞が狙えるレベルの才能と喧伝され、実際に自身もそれを目標にしていると伝えられている。とはいえ1年目からそれだけの結果を残すことが想定されているわけではなく、3、4、5年目に完全開花させるためのプロジェクトだ。ドジャースだけではなく、佐々木獲得を望んだすべてのチームがそう考えていたはずで、それゆえにこれほどの争奪戦が勃発したのだろう。

 そういった背景でドジャースに加わった佐々木が2025年、どういった使われ方をしていくのかを予想するのは難しい。マイナー契約ではあっても1年を通じてマイナー暮らしをするとは考え難く、メジャーリーグで起用されるはずだ。それでは、どの程度のイニングを投げるのか? 佐々木の入団会見の際、アンドリュー・フリードマン編成本部長は「春季キャンプから全力で取り組ませる計画だ」と話しており、開幕からメジャー入りさせるつもりだと受け取られたが、実際にはその言葉がどういう意味だったのかは、はっきりとはわからない。

 ドジャースはシーズン中に投手を一度シャットダウンし、時間を置いてまた仕上げていくというやり方は好まない。右肘の手術明けだったウォーカー・ビューラーも昨季5月に初先発させ、大事な時期に力が出せるように進めていった。今季の大谷もその流れになり、5月までは登板しないのだろう。

 佐々木はプロの世界で130イニング以上投げたことがない投手だから、チームが慎重になるのは間違いない。それでもコンディションがよく、準備が整い、開幕時に力が出せると判断されたら、早々とデビューしても驚くべきではないとは思う。大谷、 再契約が予想されるクレイトン・カーショウ(現在FA)などは出遅れるだろうから、ドジャースはどちらかといえばシーズン序盤のほうが先発投手の頭数、イニングが必要だという事情もある。

 メジャーデビューはいつごろになるのか、開幕から本当に先発ローテーションに入るのかなどは、春季キャンプ中に少しずつ見えてくるのだろう。その点こそが、今春のドジャース最大の注目ポイントであるに違いない。

 つづく

著者プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

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