パドレス松井裕樹はWBCで苦しんだボールにも対応 ダルビッシュ有は「言葉が見つからないくらい大きな存在」 (2ページ目)

  • 三尾圭●取材・文・写真 text & photo by Mio Kiyoshi

 セントルイス・カージナルスで監督を務めていた2019年から21年までは、シーズンの投手交代回数は3年続けてリーグ平均を下回っていた。松井のここまでの登板も、連投が4度で、中1日と中2日がそれぞれ5回、中3日は3度と適度に休みは与えられている。21登板中、3分の2に当たる14試合が2点差以内の展開であり、大事な場面で起用されている。

 先発が6回まで投げ、7回を左腕の松井、8回は昨オフにニューヨーク・ヤンキースからFA移籍してきたサウスポーのワンディ・ペラルタ、そして9回は福岡ソフトバンクホークスや阪神タイガースにも所属していた守護神のロベルト・スアレスが締めるのが、パドレスの勝利の方程式だ。

 松井、ペラルタと左腕が2人続いてしまうが、松井は対右打者に対して被打率.200(対左打者の被打率は.231)と抑え込んでいる。

「ユウキは日本で10年も、試合の最も緊迫した場面で投げてきた経験を持ち、成功を勝ち取ってきたので、メジャーでの活躍は驚くことではない」と、パドレスのルーベン・ニエブラ投手コーチは松井に全幅の信頼を置く。

【コーチも称賛する適応能力の高さ】

 さらにニエブラ投手コーチは、「ユウキと一緒にプレーしてみて驚かされたことが、彼が持つ適応能力の高さだ。フィールドの中でも、フィールドの外でも、適応しなければならない課題が数多くあったが、ユウキはそのすべてに対して的確にアジャストしている」と目を丸くする。

 松井も「新しい環境に来て、本当に不安と期待というか、そういうのは新しい刺激としていろいろと感じています」と日米の違いを前向きに捉え、刺激として楽しむことで乗り越えようとしている。

 1年前のWBCでは、日本の投手陣の中で誰よりもメジャーのボールに苦しんでいたが、今季は開幕から順調にMLBのボールを操っている。

「WBCの時とは比べものにならないらい長く、こっちのボールに慣れる時間を取れましたし、こちら(アメリカ)に来てからは日本のボールを触る環境もないので、本当に慣れました」

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