大谷翔平の対戦投手を徹底分析 三十路先発陣のカージナルス、因縁のジャイアンツ、今永昇太らカブス先発陣とは初対決

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki
  • アフロ●写真 photo by USA TODAY Sports/Reuters/AFLO

ナ・リーグでの打撃に注目が集まる大谷翔平 photo by AP/AFLOナ・リーグでの打撃に注目が集まる大谷翔平 photo by AP/AFLOこの記事に関連する写真を見る

■打者・大谷翔平の対戦チーム投手分析2024「カモと苦手」:4月中旬までの対戦カード編

今季、打者に専念する大谷翔平はどの投手を得意とし、苦手としているのか? 対戦チームの投手陣との相性を過去の実績から振り返りつつそれぞれの特徴、大谷との対決の見どころを紹介していく。今回は米国での開幕戦となるセントルイス・カージナルスをはじめ、サンフランシスコ・ジャイアンツ、シカゴ・カブスと4月中旬まで対戦する強豪チーム編をお届けする。

【元巨人・マイコラスら三十路先発陣のカージナルス】

 大谷翔平のドジャースはロサンゼルスでの地元開幕戦でセントルイス・カージナルスと4試合のシリーズを戦う。

 3月28日(日本時間29日)、第1戦の対戦投手は元巨人の35歳、マイルズ・マイコラスだ。「ドジャースはオフの補強で注目されている。ビッグゲームで、敵地のファンのブーイングの中で投げたい」と闘志をかき立てるマイコラス。名誉ある開幕投手は3度目、しかしながら2019年は5回5安打5失点、2023年も4回途中までで10安打5失点。「過去2度やったけど良くなかった。でも3度目の正直というからね」と名誉挽回を期す。

 大谷とは昨年5月3日に初対決。3番で出場の大谷は、第1打席は直球をとらえて右前打、2打席目はシンカーを強く叩いて右前適時打、3打席目は高めのチェンジアップに遊飛と3打数2安打だった。「あまり良い球を投げられなかったが、大事なのはフライを打たせないこと」とマイコラス。ほかの打者ではフレディ・フリーマンに13打数5安打2本塁打、キケ・ヘルナンデスには10打数6安打と相性が悪い。対ドジャースの通算成績も1勝2敗、防御率4.23だ。

 カージナルスは世界一11度のナ・リーグきっての名門だが、昨季は中地区最下位に沈み、再び同じような成績なら2008年からチームを率いるジョン・モゼリアック編成本部長の首も危ない。

 スポーツ専門サイト『ジ・アスレチック』のケン・ローゼンタール記者はオフの総額9900万ドル(約148億5000万円)の補強に疑問符を付けている。ソニー・グレイ(34歳)、ランス・リン(36歳)、カイル・ギブソン(36歳)と峠を越えたベテラン先発投手をかき集めたからだ。良い点を挙げれば、全員メジャーでシーズン30試合以上に先発し、長いイニングを投げた経験があることだが、長いイニングを投げても成績が伴わなければ意味がない。

 リンは昨季32試合に投げて防御率5.93、メジャーワーストの44本塁打を被弾した。大谷とは5月31日に対戦し、第2打席に94マイル(150km)の内角シンカーを中越えに、第3打席に93マイル(149km)の内角高めの直球を右中間スタンドに478フィート(約146m)も運ばれた。大谷に対しては23打数10安打3本塁打、打率.435とカモにされている。

 ギブソンも昨季ボルチモア・オリオールズで33試合に先発し15勝はしたものの、防御率4.73。大谷とは過去5打数3安打2四球。2022年6月が最後の対戦で内角カッターを右翼線二塁打とされた。

 マイコラスは「うちには強力打線と堅固な守備と優秀なブルペンがついているから、先発投手が完璧でなくてもいい。1対0で勝たなくてもいいし、20三振を奪わなくてもいい。試合を接戦状態にしてゲームを作ること」と説く。

元巨人のマイコラスらベテランで先発陣を構成するカージナルス元巨人のマイコラスらベテランで先発陣を構成するカージナルスこの記事に関連する写真を見る

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著者プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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