藤浪晋太郎「メジャー1年目」最高のシナリオ...先発ローテ入り→トレード移籍→ポストシーズン進出→ワールドシリーズ優勝? (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki
  • photo by Kyodo News

【藤浪が先発ローテ確実な背景】

 藤浪が入団する前の時点で、アスレチックスのローテーションは5枠のうち4枠が埋まっていた。

 昨年は30先発で防御率3.98のコール・アービン、26先発で防御率4.23のジェームズ・カプリリアン、21先発で防御率4.28のポール・ブラックバーンに、藤浪の約3週間前に加入したドリュー・ルチンスキー(NCダイノス/韓国→)だ。こちらの契約は、1年300万ドル(約4億円)に球団オプションの500万ドル(約6億8000万円/2024年)がつく。

 アービンら3人は、藤浪と同じ歳か1歳違いだ。34歳のルチンスキーは過去4年とも韓国のNCダイノスで投げ、いずれも30先発以上&防御率3.20未満を記録している。

 藤浪は残る1枠の筆頭候補ながら、若手とその座を争う可能性もあるように見えた。

 ところが、1月に藤浪を迎え入れたアスレチックスは、そこから半月後にアービンをボルチモア・オリオールズへ放出した。藤浪を含む4人プラス若手で、ローテーションを組むということだ。さらに、メジャーでは一般的な5人ローテーションではなく、藤浪に合わせる形で6人ローテーションも検討しているらしい。

 仮に、何人もの若手がエキシビションゲーム(オープン戦)で好投しても、藤浪がローテーションから弾き出されるとは考えにくい。

 現在、アスレチックスは再建中だ。昨年の開幕前から、主力選手を次々と売り払っている。今オフに手放したのも、アービンだけではない。捕手のショーン・マーフィーとリリーフ投手のA.J.パックを、それぞれアトランタ・ブレーブスとマイアミ・マーリンズへ放出した。

 今年のポストシーズンへ進む可能性は、開幕前からほぼ消滅している。であれば、勝ち目がない状況で若手を起用し、FAになるまでの期間を縮めるよりも、藤浪やルチンスキーに投げさせたほうがいい。

 とはいえ、誰でもよかったということではない。ローテーションの一角を占めることができると判断したからこそ、アスレチックスは藤浪と契約を交わしたはずだ。

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