若手投手に学ぶダルビッシュの「謙虚さ」と「貪欲さ」。2ケタ奪三振試合歴代1位の偉業も目前に (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/アフロ

 これほどのピッチャーが、2ケタ勝利を挙げたのが2017年以来と聞いて驚いたファンもいるかもしれない。ここ数年はダルビッシュ自身、チームともに"勝ち運"がなかったこともあるが、特に昨年は6月末まで7勝2敗、防御率2.44という好成績でオールスターに選ばれながら、7月以降は1勝9敗、防御率6.65と急降下。そんな経緯から、2022年にかける思いは強かったに違いない。

 好調のダルビッシュに支えられ、今季のパドレスはポストシーズンに向けて他チームにとっての危険な存在になりそうだ。現在、ナ・リーグ西地区2位のパドレスは、首位ドジャースに11.5ゲーム差をつけられているものの、今夏に効果的な補強を敢行したのだ。

 8月2日のトレード期限直前、通算125セーブ左腕のハイダー、2020年首位打者のフアン・ソト、通算127本塁打のジョシュ・ベルを次々と獲得。チームに足りない部分を首尾よく穴埋めし、「今トレード期限の勝者」と賞賛された。

 ジョー・マスグローブ、ダルビッシュ、ブレーク・スネル、マイク・クレビンジャー、ショーン・マナイアらの好投手が揃う強力先発陣に加え、ハイダーが加入したブルペン陣も強力。さらに、フェルナンド・タティース Jrが中軸を固める打線も、間もなくマニー・マチャドらが復帰することで相手を恐れさせることになるだろう。

「去年、後半戦はチームがあまりよくなかった。自分もそうですし、チームとして同じことをしたくない。みんなでもう一回、気持ちの準備を徹底して、いい後半戦にしたいなと思います」

 前半戦終了時、そう話していたダルビッシュの意気込み通り、このチームならポストシーズンで上位に進出できる可能性も十分。だとすれば、今季は個人としてもチームとしても、"収穫のシーズン"になることは間違いない。

「打者と対戦するのが楽しみ」と話す右腕は今秋、さらに楽しくやりがいのある舞台に立つことになるのか。エキサイティングな季節に向け、変幻自在のエースのさらなる充実に期待したい。

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