2021.08.22

大谷翔平のサイ・ヤング賞は極めて難しい。無双ピッチングで候補と言われるもその理由は?

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/AFLO

 現地時間8月19日、デトロイトのコメリカパークに集まった2万7282人の観客のほとんどは、ミゲル・カブレラの通算500本塁打を目撃するのが目当てだったのだろう。しかし、この日のタイガース対エンゼルス戦が終わる頃には、少なからずのファンが大谷翔平に魅了されていたのではないか。エンゼルスを3-1での勝利に導いた大谷のワンマンショーはそれほどに見事だった。

タイガース戦で8勝目を挙げ、サイ・ヤング賞も期待されるようになった大谷タイガース戦で8勝目を挙げ、サイ・ヤング賞も期待されるようになった大谷 この記事に関連する写真を見る  投手としては自己最長の8回を投げ、6安打1失点8奪三振無四球。打者としても8回表の第4打席、右翼に豪快なホームランを叩き込み、節目の40号でエンゼルスのシーズン本塁打記録を更新した。

 投打ともに文句のつけようはなかったが、タイガース戦でより目立ったのは投球のほうだった。ストライク率76.7 %(90球69球がストライク)はメジャー4年目にして自己最高の数字。3ボールまでいったのも1度だけという抜群の制球力で、相手打線を寄せつけなかった。

「四球がなかった。そこが一番よかったところかなと思います。6回以降は比較的に三振を狙う意識ではいました」
 
 序盤の直球の球速は144~152キロ程度と抑えめだったが、カッター、スライダーを中心に打たせて取る投球を継続。3回までは毎回ヒットを打たれたものの、2、3回はダブルプレーであっさりとピンチを脱出した。エンジンがかかってきた6回からは、直球とスプリットが軸の必殺パターンにモデルチェンジ。本人の言葉どおり、最速159キロの真っ直ぐで押しまくった。

 今季前半戦の大谷は制球力に苦しむ試合が見受けられた。中でも6月30日のヤンキース戦では初回に5四死球と乱れ、自責点7でKOされたのは記憶に新しい。

 ただ、以降はコントロールが見違えるように安定し、3四球以上のゲームは1戦のみ。特に今回のタイガース戦ではリリーフを休ませたいチーム事情もあり、長いイニングを投げることを意識していた印象がある。そんな姿からは、メジャーリーグの先発投手としての成熟が感じられた。