「被害者」は大谷翔平だけじゃない。イチローにもあったMLBジャッジとの戦い (3ページ目)

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by AP/AFLO

 MLB審判の誤審疑惑は多く、同アカウントはその都度動画を上げ、現地の野球ファンの間ではちょっとした話題になっている。筆者はこのアカウントの運営者に、最近のMLB審判の判定について詳しい話を聞いた。

 まず、昨今の判定について意見を求めた。

「ストライクゾーンに関して言えば、一般的に、MLBの審判は約91〜92%で正しい判定を行なっており、この数値は過去数年にわたり維持されています。また、PITCHf/x(投球速度や軌道を追跡するスポード判定器システム)の導入後、さらに1〜2%は改善されました。しかし、判断する投球数が増えれば、大切な場面でミスジャッジが起こることはあり得ますし、それを避けることは難しいでしょう」

 では、誤審をほぼ0%に近づける方法はないのか。同氏は「ノー」と答え、その理由を次のように述べる。

「球審の仕事は人間には難しすぎます。人間の目はベースすれすれを横切る98マイル(約156キロ)のカットボールを追うように作られていません。正直無理があります」。

 大谷のように160キロ台の速球を投げる投手や、ダルビッシュのようにさまざまな変化球を投げる投手が増えてきた昨今、球審がこれらの球を瞬時に判断することが難しくなってきていると指摘する。

 同氏はこの問題を解決するため、「正確にストライクを判定できる技術があるわけですから、MLBはこれを早期に導入すべきです」と訴えるが、機械判定の導入は現地でも賛否両論があり、まだ現実的ではない。

 球審によってバラつきがあるため、大谷や他の選手たちが引き続き判定に苦労することもあり得る。後半戦で少しでもいい判定をもらうには、審判にいい印象を与える必要もあるのかもしれない。

 例えば判定に対するアピールの仕方ひとつにしても、その後の判定に影響を及ぼす可能性がある。イチローも、ちょっとしたことで審判から不評を買ったことがあった。

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